茶箪笥の裏を棲家のつづれさせ

田舎の実家は手斧で削った柱が使われているような古い農家だったので、虫という虫は出入り自由だった。秋の夜にはコオロギやらスイッチョやらが突然鳴きだすことは珍しくなかった。今の住いは築三十年を越えたが、さすがに昔の家とは違って建付けも良いので、そういうことの頻度は少ない。少ないが年に何回かは家の中で突然鳴きだす虫がいる。声がすれば捕まえて外に出してやるのだが、時々部屋の隅で干からびていることがあるのが哀れ、、、。(2014年秋詠)