冬ざれや鉄扉肩にて押し開く

人の少ない、ただっ広い工場は寒い。覚悟を決めて防寒着を羽織る。事務所を出ると薄暗い廊下が待っている。やたらと長細い工場の、これまたやたらと長細い廊下、はるか向こうに非常口の明りが見える。廊下を歩く間に防寒着の前を留め、手袋を嵌める。安全靴が重い。屋外への古い鉄扉はやたらと重く、冷たい。手袋を嵌めた手に、その冷たさを感じながらノブを回し、肩の力で思い切り押し開く。途端に北風が入ってくる、、、。(2010年冬詠)

冬ざれや帽子褪せたる石地蔵

続いて本山寺。昨日の道に入る手前から石段を登ると、比較敵新しい観音像があります。その後に小さな石地蔵が何体かありますが、こちらは表情もはっきりとは見えないような古い石地蔵です。何年ぐらい経つのでしょうか、赤い毛糸の帽子もすでに色褪せて、苔が生えたりしています。(2011年冬詠)