子どもから見れば、私は強い父だったのだろうか。父親らしい父親だったのだろうかと自問してみることがある。昔、周囲に大人が溢れていた頃、若い父はどこの大人よりも立派に見えたものだった、、、。それも昔、そんな父が余命一ヶ月となり、病院の個室に横たわっている。少し起したベッドで、無防備にうたた寝をしている。こんなことは無かったのに、、、。そんな父の横で、窓を打つ雨を見ている、、、。(2003年春詠)
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春時雨那岐連山をかくしけり
梅の里は津山市の梅の名所。展望台まで登ると、岡山県北一帯の山々がよく見える。結構高い位置なのだろう、山の向うに次の山が見える。那岐山は岡山県と鳥取県に跨る標高1255メートルの山、梅の里から見えるかどうか、正確なところはわからないが、見えるとすればこちらかと思われる方向が雲に覆われ、雨に煙っていた。那岐連山と言うかどうかも怪しいものですが、、、。(2010年春詠)
うたたねの父のおとろへ春時雨
今日3月18日は父の命日。年末に入院、肺炎ということなのに一向に良くならない、おかしいなと思っているうちに病院から呼び出し、肺癌で余命一ヶ月と告げられた。掲句はその一ヶ月目ぐらいの頃の句。まだ差し迫った感じはなかったが、痛み止めの薬のせいか無防備に眠る父を見るのは辛かった。病室の明るい窓を春時雨が打っていた。(2003年春詠)