端居して父と語りし後のこと

父は昔から煎茶が好きでした。私も嫌いではないので、若い時から、誘われれば相手をしました。父が話をしながら淹れてくれるのを待って、私はひたすら飲むだけの係でした。後の事が話題になったかと言えば、決してそんなことはなく、そういう話をしない間に父は死んでしまいました。わかっていれば父だって話したでしょうが、後悔先に立たずです。僅かに聞いた話の切れ端が、あまりにも短いのです。(1999年夏詠)