雀来てゐる豌豆の花咲いて

久しぶりにロッカールームで仙人と一緒になった。「蛇やマムシは出ませんか?」「ああ、出る出る」「怖くないですか?」「怖いよ、怖いけど向うのほうが先に住んでいたんだからね、仕方ないよ。こちらが気をつけて歩いてる。上を見たり下を見たり、これからの季節は忙しいよ」「上?」「ああ、スズメバチ。これが一番やっかい。夏には戦争だよ!」「スズメバチとですか、あれは危ないですね。でもこれからは良い季節になりますね。気持ちいいでしょう?」「そう!最高!特に五月はね!」と急に目が輝きだした、、、。(2014年春詠)

日々の音こぼるる路地や豆の花

好きなものの一つに路地がある。路地には生活の音が溢れている。もちろん静かな路地もあるが、それは異次元への通り道のような路地で、そこを抜けるとツンと澄ました表通りとは違った世界が広がっているのである。路地を抜けると通りがあって、さらに次の路地があって、さらに通りがあって、というような迷子になりそうなところは特に好きだ。掲句は岡山市庭瀬城址吟行での句。新しい家と古い家が混在する住宅街、家の間を抜けると小さな畑があり、豌豆の花が咲いていた。日曜日の朝の音が零れていた。(2011年春詠)