銀漢に覆ひ尽くされ峪の村

子供の頃の実家周辺には街灯がなかった。だから家々の灯りが消えると集落は真の闇に包まれる。真上に、Ⅴ字に切り立った山を橋脚のようにして、銀河が横たわる。流星が見える。蚊取線香を点けて縁台に寝転がっていると時を忘れた。飽きることはなかった、、、。(1998年秋詠)

銀漢に紛れて低き飛行音

よく分かりませんが飛行機にも通り道があって、ちょうどこの辺りの空の、それも高度の高い位置がそれに当っているように思います。昼間には何本もの飛行機雲が交差しているのが見えますし、夜には飛行音とともに、赤と緑に点滅する信号灯がいくつも見えます。さらに夜が更けて、銀河が見える時間帯になると、見えていた点滅が星の中に紛れ、飛行音だけが残るようになります。(2000年秋詠)