たまたま子供の誕生日が十六夜だったという古い句です。今年は今日が十六夜、、、。(2000年秋詠)
カテゴリー: 2000
先まはり先まはりして赤蜻蛉
これは群れていない赤とんぼ、、、。(2000年秋詠)
出くはせし猫身構へる花野かな
また新顔の猫が来だした。各種の猫が混じっているようで、しっぽがやたらと長くて太い。顔はあらいぐまのよう。どう見ても美形とは言えない。餌につられて、少しずつ慣れてきて、最近はニャーと鳴くぐらいまでになった。やっぱり猫には違いなかった、、、。(2000年秋詠)
駄菓子屋の窓に瞬く聖樹の灯
古い句です。徒歩通勤の途中に小さなお店がありました。子供用の駄菓子から日用品まである、昔の田舎にあったようなお店です。入口の引戸はサッシになっていましたが、入ったらチャイムが鳴って、しばらくして奥のほうから腰の曲がったおばあさんが出てきます。夜は厚手の白いカーテンが引かれ、お店の灯は消されます。残業した帰りに通ると、そのカーテンの向こうにいかにもささやかな聖樹と分かる明かりが瞬いていました、、、。その後おばあさんは亡くなり、お店も無くなってしまいました、、、。(2000年冬詠)
備長の叩いて遠き枯野かな
なんだか意味不明な句になってしまいましたが備長炭です。叩くと炭とは思えない金属質の良い音がします。火勢が強く鋳物師用に作られた炭だったようです、、、。(2000年冬詠)
ベランダの錆びし鉄柵花八手
朝ゴミを出しに行く所がちょうど昔住んでいた家の前で、ゴミを出して帰ろうとするとその佇まいが目に入る。今住んでいるのは独り身の無頓着な方で、玄関脇の八手は奔放に育って二階の窓に届きそうになっている。ちょうど花の季節、木が奔放なら花も奔放、その奔放に咲いたクリーム色の花がさびれた古い家の佇まいとよく合っている、、、。(2000年冬詠)
湯豆腐や帳場に響く京言葉
ああ、京都でした。何となく思い出しました。団体旅行ですから名前ばかりの京料理ですが、雰囲気だけは楽しめました、、、。(2000年冬詠)
冬桜ガイド掲ぐる団体旗
これも古い句です。ガイド、団体旗と言えばバス旅行、どこへ行ったんだろう?と自分でも詠んだ時の記憶がない。そんな事を考えながら見ていたら近くに答の句がありました。それは明日のお楽しみ、、、。(2000年冬詠)
母さんのしつぽで遊ぶ小春かな
今日は11月30日、旧暦では11月2日、小春は旧暦10月の異称とあるから正式には違うようですが、、、。(2000年冬詠)
秋の日や手錠の人のうつろな眼
これも古い句です。大阪への出張の途中、トイレ休憩に寄った高速道路のサービスエリアで見かけた景です。護送途中だったのでしょう、トイレから出て来た人のどこを見るでもないような目、手錠、後に目つきの鋭い屈強そうな人、、、。(2000年秋詠)