昨年の誕生寺吟行での句、駅で県南から来る句友の到着を待っていた時間だから午前十時前頃、やっと雲の間から駅舎の前に薄日が差してきてホッとした。晴天とはいかないだろうが、初冬らしい吟行日和の予感、、、。(2017年冬詠)
部屋の壁窓の形に冬朝日
冬に入りました。日差が恋しい季節です。晴れた日には出来るだけ早く窓のカーテンを開けます。壁まで日差が届くのは短い時間なのですが、それでも何となく暖かくなったような心になれます、、、。(2017年冬詠)
日翳れば冬の足音すぐ傍に
日差にホッとするのもつかの間、翳るとたちまち寒い風が吹いて行きます。もう明日は立冬ですね、、、。(2017年秋詠)
とある日の全き空に秋惜しむ
完璧な青空、、、。(2017年秋詠)
亀虫が東司の窓に日を求め
某名刹のトイレ、「落葉が入るので戸を閉めてください」との貼紙があったが、カメムシまでは阻止出来なかったようだった。閉まった窓の硝子にくっついて日動かなかった。外は晴天、、、。(2017年秋詠)
孤独なる猫の寝てをり文化の日
昨年の夏から今年の正月まで居候していた野良猫、正月が明けるとふらっと出て行ってそれっきり、どこでどうしているのやら、、、。人間につかず離れずの野良猫は昼間はいつも孤独そうに寝ていた。今我が家にはまた新しい野良猫が、、、。(2017年秋詠)
柿熟るる八十八番大師堂
街中の路地を入ると突然立派な佇まいの古い大師堂、八十八番と書いてある。いったい全国にいくつの霊場があるのだろうと思うぐらいに、どこに行っても大師堂に行きあたるが、八十八番に出会ったのは初めてだった。ここが最後かラッキーと思ったが、では一番から八十七番はというと、全く分からない、、、。(2017年秋詠)
風一夜騒ぎて朝の秋時雨
今年はあれだけ暑い夏が続いたのにもう時雨の季節になってしまいました。目覚めると濡れた路面を走る車の音、天気予報は晴れだったのにと思いつつ外を見ると雨が、、、。(2017年秋詠)
本堂の法話漏れ来る暮の秋
某名刹の大きな本堂、聞きたくて聞いたわけではないけれど、外まで漏れて来る法話は一度だけ会話をした事のある小柄で細身の年老いた住職のものだろう、見かけによらず張りのある声。聞いているのは観光客か、時に笑いを誘いながらの住職の名調子は続く、、、。(2017年秋詠)
消防の操法訓練空高し
目新しい吟行地はないかと走っていて行きついた知らない町の少し山に入ったスポーツ施設、一番低いところにグラウンドがあり、それを見下ろす丘の上に体育館やテニスコート、さらにそこから山へとウォーキングコースが続いている。そのウォーキングコースに興味を持ったのだが、作っては見たけれどという良くあるパターン、草ぼうぼうで歩くのもままならない。早々に諦めて後を振り返ると、ちょうど見下ろす位置にあるグラウンドで消防の操法訓練が始まったところ。晴天の秋空の下に並んだ消防自動車、きびきびと動く人影と掛け声、草の中に腰を下ろししばらく眺めていた、、、。(2017年秋詠)