菊の鉢片寄せひそと忌中札

通勤途中の酒屋の店先には春夏秋冬それぞれの花や鉢物が飾られ、通り過ぎる間の僅かな時間であるが、私の眼を十分に楽しませてくれた。秋にはもちろん、大輪の菊が何鉢も飾られ、入口が分からないほどだった、、、。ある日通ると、その菊の鉢がすべて片寄せられていた。閉じられたままのガラス戸の内側に、色褪せた白いカーテンが重そうに垂れているのが見えた。そして、梁の中央に黒い縁取りの忌中札が貼られていた、、、。(2010年秋詠)