白菊や黄菊や朝の路地ぬける

隣家の軒下に菊が数鉢並んでいます。今年は作られていないのかと思っていたのですが、ここに来て中程度の大きさのそろった白と黄の数鉢が並んでいます。作者のきちんとした性格が表われているような菊です。掲句は昔、徒歩通勤途中の路地に面したお宅の横を抜ける時の句です。こちらは寄せ植えの小さな白と黄、赤ら顔のおじいさんの花畑、、、。(2002年秋詠)

小さめの花に小さめ菊の鉢

立派な鉢にでーんと咲かせた菊も良いけれど、小さな素焼きの鉢に、見合う大きさで咲かせた菊も良いもんだ、と納得した去年の近所の菊でした。本当は失敗作だったのかも知れません、、、。今年はどんな菊が見られるだろう、、、?(2013年秋詠)

菊の鉢片寄せひそと忌中札

通勤途中の酒屋の店先には春夏秋冬それぞれの花や鉢物が飾られ、通り過ぎる間の僅かな時間であるが、私の眼を十分に楽しませてくれた。秋にはもちろん、大輪の菊が何鉢も飾られ、入口が分からないほどだった、、、。ある日通ると、その菊の鉢がすべて片寄せられていた。閉じられたままのガラス戸の内側に、色褪せた白いカーテンが重そうに垂れているのが見えた。そして、梁の中央に黒い縁取りの忌中札が貼られていた、、、。(2010年秋詠)