「咬みます」と札つけし猫うららけし

どういう訳か最近我家の近くに猫の姿がなく、おかげ様で今年は静かな春となっています。掲句は久米南町誕生寺の寺務所で見かけた猫です。よく太っていかにも人懐っこそうなので近寄ってみると、首に、、、。(2014年春詠)

道具屋の主も古しうららけし

岡山駅前の大通りに面した骨董屋さん(名前は忘れました)、ちょいと覗くと奥のほうに備中神楽の面が見える。吸い込まれるように入っていくと、ところ狭しと飾られた骨董品の間から、これまた同じくらいに古びた主のにこやかな顔が、待ってましたとばかりに出てくる。「お面ですか?」「え、ええ、まあ、、、」「こっちにも良いのがありますよ」「いえ、見るだけですから」「かまいません、いくらでも見てください」そんなふうに言われてもと、そうそうに店を後にしたが、それにしてもあの主の笑顔は骨董屋らしくてよかった。それから二回ほど寄ってみた、、、。(2013年春詠)