もう、さっさと歩いてよ、と思いながら近所の人だから何も言わない。と言って、追い越すには早い、後をついて行くには遅い、中途半端な二人連れの女性、、、。(2013年冬詠)
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枯葎ずどんと抜けて獣道
11月の句会へ行く途中に宇甘渓に寄り、後は例によってナビ任せで走っていたらとんでもない山の中に入ってしまった。不安になりながら走っていると、道端に軽トラが止まっている。ふと見た荷台に見覚えのあるものが転がされている。止まって少しバックして確かめると確かに猪だった。たぶん獲りたてなんだろう、荷台の縁を枕のようにして眠っているように巨大な猪が転がされていた。辺りを見回しても人の姿は全くなく、目に付いたのは軽トラについていたシルバーマークだけだった、、、。(2013年冬詠)
床暖房あるてふ車夫の声若し
やはり天気が悪くて寒い日だったのだろう、昨日と同じ日にこんな句があった。美観地区の人力車、はなから乗りそうにないのは分かるだろうに、いつも声をかけてくれる。しかしこれが、一人だけ声をかけられないと、それはそれで寂しいかも、、、。(2013年冬詠)
人声のもれ来る障子明かりかな
倉敷美観地区に隣接する観龍寺での句、天気が悪かったのかな、入口の障子に室内の明かりがほんのりと漏れ、何やら話し声が聞えてきた。いつ行っても静かなお寺、、、。(2013年冬詠)
冬深む壁に熊手と箒かけ
小さな納屋のような建物の軒下に整然と割木が積まれ、壁に箒と熊手が掛けられていた。薪ストーブにでも使うのだろうか、このあたりでは珍しい光景だった。積まれた割木と箒と熊手、オブジェとしても最高だった、、、。先日書いた山小屋暮らしの仙人(と呼ぶことにした)は、最初は薪で暖をとるつもりだったが、小屋が小さくて危ないのでやむなく灯油ストーブにしているそうだ。灯油代も馬鹿にならず、国民年金だけでの暮らしには痛いと、、、。(2013年冬詠)
日に何度来るや鶲の声ひそと
困った困った、今度はジョウビタキが戻ってきた。一昨年一冬を玄関前の梁の上で過し、たくさん糞をして去って行ったジョウビタキのようだ。昨年は現れても居つくことは無く一冬安泰だったが、今年はそうはいかないようだ。今度はよりによって車のサイドミラーがお気に入り、人懐っこいのは良いのだが、車が糞だらけになってしまうのは困る。さてどうしよう、、、。(2012年冬詠)
木枯や旗竿打てる旗の紐
会社員時代、風の強い日には隣の工場の旗竿の音がよく響いていた。金属製のポールはカンカンと乾いた大きな音がする。そこにはポールが三本あり、社旗、国旗、安全旗が毎日揚がっていた。雨の日はどうだった?と、ふと考えたが記憶にない、、、。掲句は通りがかりに聴いた別の旗竿の音、旗は揚がっていなかったがよく響いていた、、、。(2013年冬詠)
鳥一羽沈思黙考冬川原
ちょっとお遊び、鷺です。大きな鳥は近くで見ると恐いですね、遠い遠い恐竜時代の記憶があるのかも知れません、、、。(2013年冬詠)
冬の日を閉ぢ込めて繰る雨戸かな
早いものですね、もう十二月、日暮も早いです。部屋に出来るだけ日差を入れて、空気が冷たくならない内に、すばやく雨戸を閉める。なんてことを日々繰り返しています。冬至にはもうしばらくありますね、、、。(2013年冬詠)
少年の砂場に一人冬夕日
いつもの散歩コースの河川敷の公園には所々に砂場がある。公園と言っても利用する人はほとんど無く、砂場もゴルファーのバンカーになっているようなものだ。そんな砂場にめずらしく、中学生ぐらいの少年が一人居た。一心不乱に何か練習しているような仕草をしていたが、何なのかわからなかった。もう夕日は山にかかり、あたりは暗くなりかけていた、、、。(2013年冬詠)