実家での句です。実家には昔何本も茶の木がありました。普段使いの番茶は母や祖母がその葉を焙烙で煎って保存したものを使っていました。煎る時の匂いも、番茶の味も好きでした。煎茶は収穫した新芽を製茶工場に出して自家用に加工してもらいました。これも子供ながらに好きで、よく父や祖父の相手をしながら飲んだものです。今はティーバッグの安いお茶で我慢しています、、、。句とは無関係ですが今日は勤労感謝の日、、、。(2023年冬詠)
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茶の花や背戸暮れやすき里の家
田舎に帰ると知らない間にいろいろな植物が生えています。この花が咲いた茶の木もその一つ、大きな柿の木の根元に小さく、ひっそりと、、、。(2021年冬詠)
茶の花や空家となれば人訪はず
久し振りに道を変えて歩いてみた。途中にある古いお家、かつては小柄な上品そうなお婆さんが一人で住まわれていた。生垣の間に何本か茶の木が植えてあり、冬になると隠れるようにして白い花が咲くのだった。亡くなられたと聞いたのはもう一年以上前になる。それから空家となっているのだろう、門の内の小さな庭には草が伸びている。生垣も、何だか知らない蔓性の植物が絡まっている。確か茶の花が、と思って見ると、あった!生垣の奔放に育つ他の木の間で、身を細めるようにしている茶の木に、以前と同じように隠れるように白い花が、数個、、、。(2018年冬詠)
茶の花やころがりさうに坂の道
棚田沿いに急な坂道が続いている。表面はコンクリート舗装、一応すべり止めの刷毛跡が付けてあるが、年数が経って表面はざらざらになっている。上りはまだ良いが下りが危ない。必要以上に足に力が入ってしまう。一息には無理で、ちょっと一休みと腰を伸ばして道端を見ると茶の花が咲いていた。目立たない花、、、。(2017年冬詠)
茶の花や空家静かに崩れゆき
かつては手入れの行き届いた生垣だったのだろう。その生垣の中に数本の茶の木が混じっている。普段は奔放に伸びた周囲の植物の中で全く目立たない存在だが、この季節になると白いおとなしい花をつけ、その花によって茶の木があった事を思い出すのだった。空家のある場所は滅多に通らないが、通るたびに少しずつ崩れていき、今年はとうとう倒壊してしまった、、、。(2015年冬詠)