ゴルフボールぽろりと落とす寒鴉

枯木の上にやって来た鴉、何やら白い物を咥えている。何だろうと思って見ている間に嘴を離れてポロリと落ちた。「下手くそ!」と思いながら近づいてみると何のことは無い、ゴルフボール、、、。(2023年冬詠)

寒鴉里と深山と鳴きかはす

散歩途中の木の上の鴉の声とそれに応える川向うの山中の鴉の声。またそれに応える木の上の声。その繰り返し。明らかにつながりが感じられる二羽の声。何を連絡しているのだろうかとしばし考える。暇人、、、。(2022年冬詠)

御厨人窟の闇より一羽寒鴉

「室戸」その9 前述の虚子の句碑から遠くないところに空海が修行をしたという御厨人窟(みくろど)という洞窟があります。ちょうど車から降りた時に、その洞窟の闇の中から鴉が一羽飛び出して来ました。たぶんお供えでも頂きに来るのでしょう。しばらくは洞窟の上の崖に張り出した松の木の枝に留まってこちらを伺っていましたが、何も持っていそうに無いと思ったのか、何回か鳴いて飛び去って行きました。本当に修行をしたのかどうかは分かりませんが、それほど深くは無いその洞窟に座ると、ちょうど荒れた海と冬の空との接点が見えるのでした。と言うか、しか見えないのです、、、。(2011年冬詠)