車まで母の差す傘秋時雨

実家を出ようとすると雨が降っていた。車までは十メートルほど、濡れてもたいしたことはない距離だったが、母の出してきた傘に、半分ほどはみ出しながら入れてもらった。まだ母は元気だった。父も母も家を出る時は必ず見送ってくれた。見送ってくれる笑顔の奥に寂しさが見えて、こちらまで寂しくなるのだった。今は自分がその立場になって子どもたちを送っているが、子どもたちには同じように見えているのだろうか。早めだが今日は母の一周忌。(2001年秋詠)

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