ちょっと覗いて見たくなるのが骨董屋。欲しいものがあるわけではないが、とにかく入って一通り眺めてみる。案の定目ぼしいものはなく、外にでて行き過ぎようとして店の横に細い路地を見つけた。路地もまた入ってみたくなる所。塀もない骨董屋の裏はガラクタだらけ。割れた甕やら、ブリキの空缶、タンスもある。その上で日を浴びていた猫が、こちらを見て気怠そうによっコラショと立ち上がった。重そうなお腹、貫禄の雌猫、、、。(2017年春詠)
囀や鳥にやさしき遊休地
田圃が埋め立てられたのはずいぶん前、すっかり記憶の片隅に追いやられています。最初は宅地にというような話でしたが全くその気配はなく、いつの間にか鬱蒼と茂った野原になり、やがて狐の姿まで見かけるように、、、。(2017年春詠)
格子より指出て春の埃ふく
倉敷市本町にて。鑑賞中の格子の間からいきなり指が出て来たので、正直おどろきましたが、格子の掃除って大変そうですね。景観を守るのも人の力があってこそです。倉敷格子、正式には親付切子格子と言うそうです、、、。(2017年春詠)
水音のくるりくるりと春の川
川底のちょっとした凸凹と水量が音に変わるのですから不思議なものですね。春になって水量の増えた小川の軽やかな音、くるりくるりとまるで小さな水車を回しているような音がするのです、、、。(2017年春詠)
ばんざいの形の木々や春来たる
春はうれしい。春が来ると動物も植物も、人間も、、、。(2017年春詠)
春光や鏡の中の裏窓に
洗面所の鏡に映る位置に裏窓がある。その窓の向うに土手があり、洗面所に向かうタイミングによってはその土手に朝日が当たる。その光が反射して、これまたタイミングによっては裏窓が輝いて見える。特別春に限ったことではないのだが、春には何だか光がうれしい、、、。(2017年春詠)
春雪や馬に掛けやる古毛布
掲句は昨年TVで見た光景です。今年は生まれたばかりの子牛に毛布を掛けてやるところを見ました。生まれたばかりの子牛は寒さに弱いのだそうですが、どちらもちょっと温まる光景ですね、、、。(2017年春詠)
浅春の空気震はせ遠汽笛
気持ち良い、と言っておきましょう、今年はちょっと寒さが勝っていますが、、、。(2017年春詠)
春炬燵何するでなく時流れ
いよいよ平昌オリンピック、細かいことは言わずに炬燵の中で何するでない時を過ごそう。見ているつもりがいつの間にか眠ってしまい、終わったあたりで目が覚めるのだろう。こんなことで良いのかご同輩、、、。(2017年春詠)
温度計見ずともわかる春寒し
相変わらず寒いのでこんな句を。もうやけっぱちです、、、。(2017年春詠)