花万朶空に日陰のなかりけり

満開の桜があり、雲一つ無い空がある。他に何が必要だろうか、、、。津山吟行での句会場にと思っていた作州城東屋敷の座敷が借りられることになり、市役所まで手続きに行った。担当の部署は市庁舎の五階にあった。来意を告げると、一番奥の席で窓を背に電話されていた方が出て来られた。簡単な書類を書き「すぐに許可証を発行しますから」と言われるので、待つことにした。手持ち無沙汰で、ぐるりと見渡すと、南側の広い窓の正面に鶴山公園が見えた。この位置から見る鶴山は初めてだった。まさに満開を迎えようとする山は、全体が桜色に染まって見えた。きれいだった、、、。ほどなく許可証は出来た。「ここはいいですね、鶴山が正面に見えて。初めてです」と言うと、「ええ、いいでしょう、五階だけなんですよ。こちらからは衆楽も見えるんです」と席のあった後側の窓を示された。市庁舎のすぐ下が衆楽園だった、、、。昨日下見に行った城東屋敷で、管理人の女性二人が「担当はMさんです」「あの人、ちょっと偉くなったんだったね」と話していたことを思い出して、すこしだけ可笑しかった、、、。(2010年春詠)

「花万朶空に日陰のなかりけり」への4件のフィードバック

  1. 鶴山公園の桜も有名だからきっときれいな風景だった事でしょう。
    市役所の方は毎年楽しんでおられますね。
    私が勤めた会社の山陰の営業所は松江の宍道湖近くに有り、そこのビルの窓が横長の大きな物でした。そこから見える宍道湖は正面に嫁が島が見えてちょうど額縁に入った絵の様な素晴らしい風景でした。ビルの設計者はきっとそれを狙ったのでしょう。

  2. 面白い句ですね。
    お屋敷の予約、ほんとうにありがとうございます。時代劇好きの祐子さんが喜んでおられました。歴女の滋子さんや純子さんも感激されるでしょう。

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