それだけ集中していると言うことだろうか。トラクターの運転席でひたすら前を向いて進んでいる男の後姿には人生を感じさせるものがある。仕事をしていた頃は休日や平日の会社帰りに暗くなるまで続くトラクターの音に、田圃が無くて良かったと思ったものだった。それがどうだ、今では散歩の途中で見かけるトラクターに乗った同世代の人の後姿を羨ましく思うようになってしまった、、、。(2013年春詠)
投稿者: 牛二
白木蓮の一樹に光さそはれし
と言うことで今日より三年目に入りました。掲句、西川緑道公園の白木蓮、見上げるとちょうど樹の頂に太陽の光があたり輝いて見えた。まるで白木蓮の花が自ら光を誘っているような印象を受けた。白木蓮と辛夷、よく似ていて見分けが付かないことがある。辛夷のほうが少し花びらが薄く細め、白木蓮はぽってりとした感じ、、、。(2013年春詠)
一身に光あつめて囀れる
やっと今日で二年間書き続けたことになります。読んでくださった皆様に感謝です。ありがとうございました。ページ内には表示していませんが、ヒット数も35000を超えました。中には歓迎できない訪問もありますが、それも数の内、ありがたいことです。いつまで続けられるかわかりませんが、それまでよろしくお願いします、、、。(2013年春詠)
高階の体操教室鳥曇
高階でも体操教室でもない我家の二階でプールへ行く前のストレッチをする。と言うほどではないが、あちこち身体を動かしておかないと後で微妙な影響が出てくることがある。いつもではないのが厄介で、油断して横着をすると出てくる。昔はこんなことはなかった。何をするにもぶっつけ本番ですんだが、やっぱり年齢には勝てない、、、。(2011年春詠)
白梅の白より白きうす緑
最近河原に軽トラックで柴犬を連れてくる老人が居る。柴犬はまだ子犬のようだが、老人といい勝負が出来るぐらいの力はあり、吠えはしないがこちらに興味があるようなそぶりを見せる。「こんにちは」「そのいなあ(犬は)オンかメンか?」「メンですよ」「そんなら大丈夫じゃ、こりゃあオンじゃけえメンなら咬みゃあせん」そう言いながらすれ違った。その次に会うと、「こんにちは」「そのいなあオンかメンか?」と、全く同じ内容の話。三回目も同じ、どうやら老人の記憶の中に私と私の犬は全く残っていないらしい。四回目には早めに避けてしまった。車にはシルバーマークが付いていたが、なんだか寂しい、、、。(2013年春詠)
置物の鳥のをりけり庭の春
我家の庭には様ざまなものがやって来るが、その中のひとつ、置物の鴨です。鳥やうさぎは日常茶飯事なので驚かないが、残業から帰って薄暗い庭の隅にこちらを見ている白雪姫の小人を見つけた時には心臓が止まるかと思った、、、。(2011年春詠)
春昼の鳩にまぎれし雀かな
西川緑道公園での句、群れている鳩の中に混じって餌をついばむ雀が一羽、なんとも春らしい感じがした。公園は鳥たちにとっても公園なのですね、、、。(2013年春詠)
地虫出づホルン響きし閑谷に
今日は啓蟄です。そろそろ虫の動きも活発になって来る頃です。掲句は閑谷学校吟行での句、梅がきれいでした。ホルンの音も古い建物や山々にマッチして良かった。閑谷の虫たちはきっとあの音で気持ちよく目覚めるのでしょう、、、。(2011年春詠)
鐘ついて春の寒さを払ひけり
倉敷市の安養寺での句、朝は寒かったなあ、大きな鐘の音に身体の底のほうがぶるぶるっとして、とたんに寒さが逃げていったような気がしました。紅を通り越した黒のような色の椿がきれいでした。それと鶯の正調のホーホケキョの声も見事でした。鶯の鳴き声にも訛りがあることに気づいたのがこの日でした、、、。(2010年春詠)
しつかりと胸に赤んぼ柳の芽
人波をさっそうとすり抜けて行く子守帯(と言うのかな?)で胸に赤ん坊を抱いた若いお母さん、イトーヨーカドー岡山店の外、西川から流れてきた小川にかかる橋の上で見かけた景です。赤ん坊とお母さんの一体感がなんともかっこよかった、早春の一こまでした、、、。(2013年春詠)