夕日濃し赤きトマトの透けるほど

ダム湖の展望台で、足元のはるか下に見える湖面を見ながら句作をしていたら、後からお年よりに声をかけられた。「ちょっとお話させてください」「はい」と返事をすると、自分がその近くで生まれ育ったこと、16歳で近くの発電所に就職したらすぐに広島に行かされ、爆心地から1.6kmの所で被爆したこと、その後材木商の仕事をして、このダム建設に携わったこと、いろいろ在ったがここに来て山を見ると生きていて良かったと思うこと、を、一気に話された。最後に「私はもう年寄ですが、見ればあなたはまだお若い。人生はこれからです。しっかりがんばってくださいよ。お邪魔しました」と言い残し、シルバーマークを二つも付けた軽自動車で帰って行かれた、、、。その時はその方が被爆者で、初めて被爆体験を直接お聞きしたことで頭がいっぱいでしたが、後で考えると、これって俳句仲間から時々聞く、例の勘違いだったのかも知れない、、、。今日は原爆忌、七十年の平和をもう一度考えてみたい。黙祷、、、。(2014年夏詠)