山道に差し掛かる手前でパトカーの後に付いた。赤色灯に先導されるようにして山道のカーブを曲がると、大きく張り出した桜の木の下へ。桜はちょうど落花の真っ最中、赤色灯に誘われるように花びらが舞う。その中をゆっくりとパトカーに続いて走って行く。パトカーの後もたまにはいいもんだと思った昨年の句。峠までしばらくはこんな道が続いた、、、。(2019年春詠)
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晩春の祢宜装束の薄緑
なんて言う色かな、薄緑でいいのだろうか、そんな事を思いながら眺めた境内を掃除する祢宜の着物の色。日本古来の物だろうから、色にも何かふさわしい呼び名があるのかも知れない、、、。(2019年春詠)
惜春や雨降り止めば草抜かな
コロナウイルスによる緊急事態宣言のせいで、とうとうプールがお休みになってしまいました。滞りがちな庭の手入れを休みの間に済ませてしまおうと、思ってはいるのですが、さてどうなる事やら。掲句は昨年、今年も雑草は元気そのもの、、、。(2019年春詠)
目の前に降りて子雀虫つつく
おいおい、人間だからいいけど危ないよ、、、。(2019年春詠)
木を切つてをれば虻来て覗き込む
「何やってるんだよ、私の縄張で」と言わんばかりにやって来て、、、。(2019年春詠)
晩春やダムのゲートの閉じしまま
晩春の日差の中でダムのゲートから吐き出される水の白い輝きが見たくて出掛けたのですが、ゲートは閉ざされたまま、晩春の長閑さだけがあった去年の句です。今日は穀雨、、、。(2019年春詠)
山吹や裏窓越しに鍋薬缶
道路沿いの生垣に山吹が咲いているお家がある。南向きの家の裏側を道路が通っている形になり、生垣の向うに台所の出窓が見える。母娘二人暮らし、窓辺に置かれた鍋や薬缶の影、くもりガラスの向うにその質素な暮らしぶりが見える、、、。(2019年春詠)
まがひ物多し我が家の名草の芽
う~ん、これはどっちだろう?と思って残しておくとたいていは雑草です。せっせと抜いていて、しまった!と思うのが花ですが、後の祭り、、、。(2019年春詠)
晴の日の蝶影となる石の上
気付けばずいぶん日差が強くなっています。ふらふらとやって来た蝶の影が、石の上にくっきりと、蝶に合わせてふらふらと、、、。(2019年春詠)
咲ききつて花に憂ひのなかりけり
去年こんな句を残していました。咲く時は咲く、散る時は散る。これが昔から見て来た桜の美しさだと思うのですが、今年はいつまでもしがみついて少しずつ散って行く桜です。自然まで変わってしまったのかなあと思ってしまいます、、、。(2019年春詠)