物言はぬ目高も餌を求めけり

家内が飼っているいるメダカ、留守の時は餌やりを頼まれるが、メダカは何も言わないのでついつい忘れてしまう。それでも傍を通るとなんとなく気配がすることがあって、そんな時は覗くと態度が明らかに餌を欲しがっている。慌てて餌をやるのだが、運が悪ければ見過ごすことも、、、。(2015年夏詠)

身体より影の濃かりし目高の子

川を泳ぐ魚の小さな子どもが目高だと思っていた。鮒も鮠も見分けがつくようになるまでは目高なんだと思っていた。目高が目高という種類の魚で、さらに目高にも何種類もあるなんてことを知ったのは大人になってからだった。それはさて置き、水路を泳ぐ目高の子を見ると、身体は、これも保護色なのだろう、水に近い色をしているが、日を受けて出来た水路の底の影は一人前に黒かった、、、。(2010年夏詠)

子目高のピリオドほどが泳ぎけり

ディスプレイに向かうと老眼のせいか、入力したのがピリオドなのか、はたまたカンマなのか、見分けが付かないことがあります。薄暗い甕の中の、生れたばかりの目高は、ちょうどあの大きさなのです。目を凝らして見ると、確かに動く点がいるのです。(2009年夏詠)

時々は甕の目高のさわぎけり

庭を掃いていると、時々水のはねた音がする。あれっ、どの甕かな?と見渡しても、どの甕の目高も静かに泳いでいるのです。またしばらく掃いていると音がする。今度こそ、と思って見るが、やっぱり静かなままなのです。こんなふうに今の私に時間は流れていきます。(2012年夏詠)

朝楽し甕の目高の寄り来れば

出勤前に甕を覗くと目高が寄ってくる。これが結構可愛い。眺めているとニ分や三分はすぐに過ぎてしまう。黒や赤や白や、最近は「ダルマメダカ」なんて言うのもいるらしい。今年は日に何度も覗くので目高も困っているかもしれないな。「餌もくれないで、いいかげんに働けよ!」と、言いたそうに見えなくもない。(2010年夏詠)