攻寄せて匂豊かや葛の花

葛の花が咲き始めました。野原にあって圧倒的に強い葛、むせるような匂いも圧倒的です。兎を飼っていた子供の頃には学校から帰ると毎日葛の葉を採りに行きました。栄養価が高くて兎も好んで食べる。採っても採っても尽きる事がない葛にはずいぶんお世話になりました。今は、その葛に苦労しています。刈っても刈っても尽きる事がないので、、、。(2022年秋詠)

腕折りて眠る重機や葛の花

小学生の頃、我が家には何匹も兎がいた。学校から帰ってその餌を採りに行くのが子供の仕事で、春から秋までせっせと葛の葉を採った。葛は栄養があって、美味しいのだろう、兎に限らず牛も山羊も好んで食べた。葛はいくら採っても採り尽くすことが無い。強すぎて、最近では兎もいないので負けてばかり、、、。(2017年秋詠)

一角の秘密基地めき葛の花

葛の繁殖力には恐ろしいものがありますね。大きな木もいつの間にか自分の物にしてしまう。木から木へ移り、下にぽっかり空間が出来ている。秘密基地にちょうどいいなと思ってしまった、、、。男の子に秘密基地は付き物だった。こういう自然に出来た空間はもちろんだが、自分たちで穴を掘って秘密基地を作ったことがあった。数人がかろうじて入れる穴の中に、てんでに家から盗んできた食料を持ち込み、これまた仏壇から持ってきた蝋燭を灯して遊んだものだが、大人に気付かれると次の日には基地は消滅した。今思えばずいぶん危険な遊びだったが、面白さはTVゲームの比ではない、、、。(2010年秋詠)