本堂の開け放たれて黴にほふ

本山寺でお坊さんに遇ったことはありません。遇うのはいつも掃除をされている年配の方と数年前から見かけるようになった作務衣姿の若い方。修行僧ではなくて、寺男として働いておられるよう(寺男の修行?)に見えます。この日は珍しく本堂の表が大きく開かれ、二人は本堂の中に、掃除機の音も本堂からのものでした。こんな機会は滅多にない、せっかくだから中を見せて頂くことに、、、。(2014年夏詠)

音たてて黴の戸ひらく修行僧

<その6>翌日はホテルのフロントに荷物を預け早朝から出かけました。三井寺へは拝観時間前に着いてしまいました。広い寺領に点在する建物のそれぞれで、朝の準備が進んでいました。そんな御堂の一つ、まだ周囲の窓が板戸で閉じられていましたが、急にがたがたと音がして内側から手が現れ、一枚ずつ順番に開けられていくのです。二方向ぐらいが開いたところで、頭を丸めた作務衣姿の若い僧が顔を出し、大きな声で挨拶をしてくれました。(2012年夏詠)