書斎としましたが父の使っていた普通の部屋。普段開ける事の無い扉付きの本棚を、たまたま開けたのが梅雨の最中。表から見ると何事もなく正常な扉の裏側に白く見えるほどの黴が、、、。(2023年夏詠)
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黴に黴生えさうな日々続きけり
勝手なもので、雨が続くと晴れの日が恋しい、、、。(2018年夏詠)
行き過ぎて自転車の人黴匂ふ
煙草だったり化粧だったり、自転車とすれ違って匂う事はよくあります。たまたまそれが黴だったのですが、時節柄気になってしまいました、、、。(2018年夏詠)
本堂の開け放たれて黴にほふ
本山寺でお坊さんに遇ったことはありません。遇うのはいつも掃除をされている年配の方と数年前から見かけるようになった作務衣姿の若い方。修行僧ではなくて、寺男として働いておられるよう(寺男の修行?)に見えます。この日は珍しく本堂の表が大きく開かれ、二人は本堂の中に、掃除機の音も本堂からのものでした。こんな機会は滅多にない、せっかくだから中を見せて頂くことに、、、。(2014年夏詠)
旅かばん箪笥の上に黴びにけり
この頃には出張へ行くこともほとんど無くなっていた。もっとも行ったとしてもほとんどが日帰りで、大きなバッグに着替えを詰めての出張は、もともと多くはなかった、、、。(2011年夏詠)
音たてて黴の戸ひらく修行僧
<その6>翌日はホテルのフロントに荷物を預け早朝から出かけました。三井寺へは拝観時間前に着いてしまいました。広い寺領に点在する建物のそれぞれで、朝の準備が進んでいました。そんな御堂の一つ、まだ周囲の窓が板戸で閉じられていましたが、急にがたがたと音がして内側から手が現れ、一枚ずつ順番に開けられていくのです。二方向ぐらいが開いたところで、頭を丸めた作務衣姿の若い僧が顔を出し、大きな声で挨拶をしてくれました。(2012年夏詠)