散歩途中に覗き込んだ用水路の底に一本の赤さびた鎌、ずいぶん長くそこに沈んでいたのだろうと思える色、どうして今まで気づかなかったのだろうか不思議なものです。気づけば毎日覗いて見たくなるのですが、やがて水量も増え、水草が生え、いつの間にか忘れてしまいます。これもいつもの事です、、、。(2018年春詠)
足跡をたどれば我が家春の雪
早朝のミステリー、、、。(2018年春詠)
日差来て色持つ春の霜野かな
冬は霜が解けても下から出てくるのは枯色、それに比べて春は霜の下から現れるのは活動を始めた植物の新しい色、寒いだけではない、、、。(2018年春詠)
春嵐竹百幹を打ち鳴らし
強風に揺れる孟宗竹の幹と幹が触れ合ってカンカンと大きな音を立てる。人影のない山中で聞き、それが竹の触れ合う音と気づくまではちょっとした恐怖だった。気づいてみればこれも一つの春の音、、、。(2018年春詠)
日差まで吹き飛ばされて春寒し
北国の寒波は史上最強クラスとか。それに比べるとありがたい、と去年の寒さを思い出してみる。さて寒かったという記憶はあるものの、ではどれくらいと言われるとどうだったか思い出せない。そんな中で残した掲句。まあ思考は働いているのだから、寒いとは言いながらもたかが知れていたのでしょうね、、、。(2018年春詠)
春埃見ゆるも日差ありがたし
プールへ出かける前に我が家の二階で少しだけストレッチをします。午後二時前、天気が良ければちょうど日差が部屋の中へ入って来る時刻です。日差が無ければまだ寒く、ゆっくりも出来ないのですが、この時季日差があれば心地よい適度な暖かさになります。日差の中に埃が見えようが何のその、途中で眠ってしまいそうになってしまいます、、、。(2018年春詠)
恋猫となりに出かけてそれつきり
掲句は昨年の居候猫、今年の猫は数日おきに戻ってきて、挨拶をして少しだけ餌を食べてはまた出かけます。どこまで遠征しているものやら、、、。(2018年春詠)
日のあらば春と思へり日のあらば
春とは名ばかり、、、。(2018年春詠)
春の鴨二羽でひとつの水脈曳いて
一転してこんな句を。同じ川で同じ鴨なのですが春になれば春の姿が、、、。(2018年春詠)
甕一つ壊して去りぬ春寒波
そうだ、思い出した!去年厳しい寒波が来たのは春になってからだった。雨樋の水を受けていた備前の甕が凍って、見事なひびが入ってしまった。気づけば氷が解けるとともに甕の水が無くなっていた。たいして価値のある甕ではないが、雨水を受けられないのは困る。ひびにボンドを塗り込んで、太い針金で上部を縛って補修した。まだ多少の水漏れはあるが、使える程度にはなって一安心。反省、自然を甘く見る事なかれ、、、。(2018年春詠)