木霊には木霊が応へ時鳥

六月です。向こうの山でホトトギスが鳴いています。昨年より多いような気がしています。散歩の途中で耳を澄ますと、鳴く声と、それが木霊した声と、その木霊がまた木霊した声と、何がなんだかわからなくなった時の昨年の句です、、、。(2017年夏詠)

退屈な犬に卯の花腐しかな

歳時記の卯の花腐しの項には旧暦四月の頃に降り続く霖雨とあります。咲いている卯の花を腐らせる意とも。卯の花もそろそろ終わりでしょうか。梅雨間近の今日この頃です。犬も年取ると寝るばっかりです、、、。(2017年夏詠)

命ある証まくなぎ寄り来たる

夏になると出て来る。それも同じ散歩道の同じところで現れる。しばらく手で払いながら歩くと、居なくなる所もまた同じ。不思議だけれど、う、る、さ、い。ずっとそう思っていたのだが、ふとこれも生きている証かと、そんなふうに思った時の句、、、。(2017年夏詠)

植田から青田へ雨の五日かな

<早苗籠>-10 去年は田圃が植田から青田へ変わる頃に雨が多く何日も散歩に出られない日が続きました。やっと晴れて出かけると、田圃はもう青々として青田の様相を見せていたのです。早いものですね、、、。これで早苗籠の十句終了です、、、。(2017年夏詠)

夜の疲れ昼に癒して田の蛙

<早苗籠>-9 いまだに不思議なのですが、田圃に水が入ると急に蛙の声が聞こえるようになります。田蛙です。夜の田圃は賑やかです。一斉に鳴き出して、一斉に静かになります。これも不思議ですね。その蛙、夜に備えて休息しているのでしょう、昼間はいたって静かです、、、。(2017年夏詠)

水口の音のかろやか余苗

<早苗籠>-7 余苗は補植が終わるまで田圃の入り口近くにまとめて植えておかれます。補植の作業が終われば処分されたり、そのままの状態で次第に衰えて行ったりするのが余苗の運命です。ちょっと可哀そうですね。水口の水音はあくまで軽やか、、、。(2017年夏詠)