木枯や売物件の幟旗

何となく久しぶりに以前住んでいた家の近くを通ったら、その前の大きな家が売物件になっていた。ご主人はずいぶん前に亡くなられて長い間奥様一人だったが、その奥様も数年前に亡くなられた。女の子が二人いたが、どちらも結婚して離れた場所に住んでいるらしかった。残った家をどうされるのだろうと、気にはなっていたのだが。何でもない今時珍しくない話だが、少なからずお世話になった方の家だけに、木枯にゆれる幟旗を見ると寂しい、、、。(2023年冬詠)

気嵐の川遡る寒さかな

霧の朝の川面にその霧よりも濃い霧が湧き上がっては上流へ流れて行く。見ているだけで寒さが募ります。長い間この現象を何と言うのだろうと疑問に思っていました。どうやらこれが近いかな、と見つけたのが「気嵐」、合っているかどうかは分かりませんが、、、。(2023年冬詠)

小六月門扉くぐりて猫戻る

久しぶりに門扉をくぐって帰って来る猫を見て思い出した昨年の句。この頃はまだ家に来たばかりで、身体も小さかった。門扉の下の隙間をするりと器用に抜けて入って来れた。今は一人前(一猫前)の大きさで、そう簡単には抜けられない。二三度やり直して、無理やり身体をねじ込んで入って来る、、、。(2023年冬詠)

北風やカラリカラカラ土竜除け

ペットボトルを開いて風車にした土竜除け、軽いせいか市販品の木製の物より音が軽い。音が軽いって事は振動が小さい。ならば効果も小さいかも知れない。そんな事よりこの土竜除け、柿の木の天辺に付けてある。ん?、という事は土竜除けじゃあなくて鴉除けか、、、。(2023年冬詠)

片時雨むかし戦の国境

川を境に片側だけ時雨れている。平成の大合併で同じ市になった所だが、知り合いの老人の話だと、昔はこの川が尼子と毛利の国境だったとか。合併してもそう簡単には行かんじゃろう、と言うのがその老人の話だったが、、、。(2023年冬詠)