清水汲むペットボトルを曇らせて

山道を走っていると清水の湧き出しているところがある。傍に小さな祠があり、水神様が祀ってある。これなら飲んでも大丈夫だろうと、手に受けて口に運ぶ。冷たい、美味い、一度に暑さが引いていく。せっかくだからと、車から空いたペットボトルを出してくる。小さな口からチョロチョロ入れると、入れたぶんだけペットボトルの周囲が曇ってくる、、、。(2012年夏詠)

池の辺の風にまどろみ夏あざみ

作楽神社の奥まったところにある古池、昔は池なのか沼なのかと思ったが、最近は少しきれいになって睡蓮も咲いている。魚はいないようだが、牛蛙は鳴いている。時々飛び込む音がするが、大き過ぎて”古池や、、、”とは言いがたい、、、。(2011年夏詠)

羽衣のやうに掛かりし蛇の衣

蛇がどうやって殻を脱いでいくのか、実際に見たことはないが、脱ぎ捨てられたものを見ると、どうやら最初に刺のようなところを見つけて、そこに口のあたりを引っ掛けて脱ぎ始めるようだ。後はゆっくりゆっくり、脱ぎにくいところは石や木の角のようなところを利用して擦るようにして脱いでいくのだろう、、、。掲句、河原の木にキチンと掛かって風にゆれている蛇の衣、遠目には羽衣、とは見えないか、、、(笑)。(2010年夏詠)

浜茄子や刺あるものもいとほしく

浜茄子はバラよりもたくさんのトゲがある。花びらはバラよりも柔らかく、ふんわりした感じ。香りはバラよりも強い。丈夫でほって置いても毎年花をつけてくれる。今年は冬の間に、少しだけ古い枝を整理してやったら、ますます元気になってたくさん花をつけている。トゲもいつになく良い色をしている。ネットで調べると、花びらはお茶にして飲めるそうだから、早速試してみよう。実も食べられるそうで、これも楽しみだ。長い間ほったらかしでゴメンなさい、、、。(2013年夏詠)

朝日受く新聞受けのなめくぢり

庭に植えておいたキャベツ、玉になるのは無理だろうとあきらめていたら、何とか形になった。待って、待って、満を持して採ったら、中がナメクジだらけだった。それでネットで調べたら家庭菜園のナメクジ対策にはコーヒーが効果的らしい。というので先日から、ドリップの後のコーヒー滓を溜めている。先は長い、、、。そういえば昔からナメクジは多かった、と思い出したのが掲句、、、。(2000年夏詠)

睡蓮の池眠らせて雨しとど

ヘッダーの写真は今年の入梅前の衆楽園、睡蓮が池を覆うように増殖している。掲句は2012年の梅雨のさ中の衆楽園、人の姿は無く、池はまるで眠っているようだった。それにしても、睡蓮の勢いがすごい!ひしめき合って、年々勢いを増しているような気がする、、、。(2012年夏詠)

飛行機の音の流され青嵐

(6月3日)今日にも入梅かという日です。風の強い日ですが、青嵐とは少し違いますね。飛行機は音ばっかりで、姿はありません。こちらも、掲句の時と違い雲の上だからです、、、。それでも、幸いなことに、昨日までの暑さが嘘のようです。過ごしやすいですね、、、。(2013年夏詠)

牛洗ふやうに田植機洗ひをり

牛の代わりはトラクターだろう。考えてみればそうなのだが、家の前で丁寧に田植機を洗う姿を見て、なぜか記憶の片隅にある田植の後で牛を慈しむように洗う映像が重なった。ほんとうにかすかな記憶で、私が小学生のころには耕運機があっという間に普及し、田の中に牛を見ることは無くなった。農繁期休暇なんていうのもあったなあ、、、。(2013年夏詠)