夏燕孕みし胎を翻す

燕は一夏に二回から三回子育てをするそうです。だから忙しい。まだ一番子の子育てをしながら二番子をお腹に宿すこともあるのでしょう。掲句、目の前で身を翻した燕のふっくらとした腹が印象的だった。母となるものの美しさは人間も動物も同じで美しい、、、。(2014年夏詠)

青嵐山肌をなめ川をなめ

山肌に風が当たると木々は白く葉裏を見せ、それが広がったかと思うと、風の動きに従って波となり押し寄せて来る。大川に出るとさっと波が立ち、これもまた面となって走って来る。風が過ぎると元の山と川。幾度となく繰り返される。風が気持ちよい季節、、、。(2014年夏詠)

カメラ手の美女を掠めて夏燕

これも高松城跡での句、よくぶつからないものだと思う燕の飛翔、、、。掲句の美女は本物の美女ですが当日、美女は美女でも着ぐるみの美女に遭遇、何ともそのいでたちが気になるので、ネットで検索して行き着いたのが「わこの きぐるみ日記」というページ、思いのほか積極的に活動されている方で、以来毎日楽しみに覗いているページです。美女が気になる方、検索してみてください、、、。(2014年夏詠)

二の丸の跡の畑や薯の花

掲句は備中高松城跡、二の丸跡の看板のある場所は畑、青々と育ったジャガイモに薄紫の花が咲いていました。まさに兵共が夢の跡です、、、。私の住んでいる場所の近くにも構ノ城という城跡があります。水害で姫新線の線路の土手が流された時に、その城跡の土を修復に使ったそうで、今は小さな丘になった畑の隅に石碑が一つあるだけです、、、。(2014年夏詠)

浮橋の揺るる浮葉に乗りしごと

先日も書いた高松城址公園での句です。昨年は黒田官兵衛の大河ドラマの影響で多くの人で賑わっていましたが、今年はどうなのでしょう?高松城址公園は水攻めの城址らしく池の多い公園、ちょうど蓮の浮葉がきれいな頃でした、、、。(2014年夏詠)

蝮見しばかりに夜の眠られず

蛇や蝮や、しょっちゅう句材にしているような気がして、このブログを蛇で検索してみると、なんと19件もヒットしてしまいました。書くことに事欠く昨今、またもや蝮に登場してもらいました。とは言うものの、今年はまだ蝮にはお目にかかっておりません。普通の蛇なら、ほぼ毎日、散歩の度に出会って、こちらもビックリ、蛇もビックリしています。そろそろ草むらに注意が必要な季節になってきました、、、。(2014年夏詠)

機音や薫風に窓開け放ち

津山に作州絣があります。一度途絶えかけた作州絣ですが、作州絣工芸館が出来たり、機織人養成講座が開かれたりと、保存会の方々の努力で復活しつつあります。掲句、作州民芸館の駐車場に聞えてきた、二階で開かれている講座の機織の音です。もちろん手織りですから風情がありますよ、、、。(2014年夏詠)