春炬燵父に無心の迷ひ猫

晩年の両親はいろんな動物を飼っていた。ある時は九官鳥であったり、ある時は亀であったり、ある時は猫であったりした。帰省する度に新たな家族が増えたり減ったり、入れ替わったりした。その猫は見慣れぬ私など気にせず炬燵の父にしっかりとスリスリし、父も「どこから来たかわからん」と言いながら満更ではなさそうな顔で餌をやるのであった。(2002年春詠)