こつそりと鳥の来てゐる枇杷の花

去年は柿が生り過ぎてずいぶん残りました。それに数が多かっただけ粒が小振りでした。それでこの冬の間にしっかりと剪定して、今年は少数精鋭で大きな実を生らそうと思っています。と言うことで年が明けてその選定作業に入りました。ところが素人の悲しさで、伐り方がよく分からないのです。そこで、基本的に昨年残った所は採り難い所、だから今年生っても採らないだろう、だから切れば良い、と判断してバサバサと切っていたら、いつの間にかツンツルテンになってしまいました。まあ、去年が生り年だったから、普通に考えれば今年はならない。だから、「去年あれだけ生ったからなあ」との言い訳は出来ますが、、、。掲句はその側にある枇杷の木、生意気なヒヨドリにいじめられないように、小さな鳥は隠れるようにして蜜を吸いに来ます、、、。(2014年冬詠)

冬ぬくし両手にあまる園児つれ

寒い句が続いたので今日は暖かい句を、、、。平日に吟行に行くと保母さんに連れられた園児たちをよく見かけます。保母さんって大変だなあと思いながらいつも眺めるのですが、最近はリヤカーを改良したような車に大勢の園児を乗せて移動するのも見かけます。あれは良いですね。子供は乗り物が好きですし、何より保母さんの目が届きやすいですからね、、、。(2014年冬詠)

心まで濡らすざざ降寒の雨

新年早々ですが町内にお葬式がありました。亡くなられたのはこの地に住みだした当時の隣家の方で、家を建てて引っ越してからも同じ町内でお付合いしてきた方です。知らせを聞いても全く信じられませんでした。他にもまだ高齢の方が何人も居られるのにと、他にもに該当する方々に失礼な事を思いましたが、こればかりは年齢で順番が決まる訳ではないから仕方が無いですね。九州生まれで大阪で結婚し、奥さんの実家があるこの地に渡って来た方で、黄門様のような髭を蓄えたやさしい方でした、、、。掲句は昨年、寒の雨は冷たい、、、。(2014年冬詠)

新雪や行けば我が後道となる

このまま春になるとは思えないのですがどうでしょう、、、?掲句は昨年、雪の中を散歩に出た時の句です。早朝に足跡の無い雪の中を歩くのは子供でなくても楽しいものです。前は真っ白、後を見れば犬と自分の足跡だけが続いている、、、。(2014年冬詠)

霙るるやひたすら眠る川の鳥

最近散歩で会うお年寄りの女性、犬が苦手らしく早くから避けて待っていてくださる。足が悪いらしく、いつも杖二本を使ってゆっくり歩かれている。最近引っ越して来られたらしく、挨拶をすると、「会うのがいつも同じ時刻やねえ」と関西なまりが返って来た。「毎日歩かれているんですか?」「ええ、足腰があかんようになったら困るからねえ。」「そうですよ、歩くのが基本ですからね。気をつけてしっかり歩いてください。」「ありがと!」とまた元気に歩き出された、、、。掲句は昨年の寒い日、、、。(2014年冬詠)

ほろほろと空のはがれて風花に

「明けましておめでとうございます。」「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。」「こちらこそよろしくお願いします。暖かくて良いお正月ですね。」「いやあ、暖かすぎて困ることもあるんですよ。」と言われて、???と思いながらしばらく歩いて、ふと気がついた。その方、元体育教師で元国体のスキーの選手、今でも冬にはスキー教室へ教えに行かれるらしく、時々教室用のゼッケンなんかが干してあったりする時期なのですが、、、。掲句は昨年の冬、散歩途中の景、、、。(2014年冬詠)

梟やどつぷり浸かる仕舞風呂

近くの神社には何本もの大木があり、フクロウが住んでいる。静かに風呂に浸かっていたり、寝床で本を読んでいたりすると、時々声が聞こえる。それも裏の柿の木にでも来ているのか、ずいぶん近くで聞こえて驚く事がある。実家でもフクロウの声はよく聞こえた。近くの山の頂にある松林が風に鳴っているような夜に、その松林の方から聞こえる声は、寂しさを通り越して子供心には不気味とさえ感じられるのであった、、、。(2014年冬詠)

軽やかな犬のギャロップ遠雪嶺

空が晴れて遠くに雪をかぶった山並が見えている。こんな日に散歩に出ると気分が良い。こちらが気分が良ければ、犬もまた同様、自然と足の運びが軽やかになる。それがギャロップかと言うと、怪しいもんだが、、、。(2014年冬詠)

添ふ星のひそかに冬の月天心

元旦の早朝に散歩に出ると、明けかかった空に星を従えた、半月ぐらいの月が光っていました。きれいでした。掲句は一昨年前の冬の満月です。冬の月は秋の月と違って、晒されたような美しさがありますね。寒くてゆっくりとは見られませんが、、、。さて、今日は小寒、いよいよ寒さ厳しく、と例年なら書けるのですが、、、。(2014年冬詠)

年用意終へて社務所の空つぽに

昨年の納め句会(12月25日)、阿智神社での句です。もっとも平日の阿智神社の社務所は空っぽの時のほうが多いような気がします。今年(12月24日)もそうでした。掃除が行き届き、随所に飾られた新しい注連縄の新しい紙垂の白色が際立って見えました、、、。さて今日は大晦日、どこの神社の社務所も夜を待つばかり。宮総代の皆様お疲れ様です、、、。(2014年冬詠)