誰がために鐘は鳴りけり葱の花

あっちの畑でもこっちの畑でも、葱坊主が見事に育っています。掲句、そんな畑を見ながら歩いていると、寺のほうからゴ~ンと鐘が一つ、、、ついこんな句にしてしまいましたが、葱の花は春の季語でした、、、。(2015年夏詠)

行春の風になごりの寒さかな

例年ゴールデンウィークまでは暖房器具は仕舞わないようしています。今年も寒かったですね、連休初日までは。晩霜の注意報まで出て、農家の方は霜対策が忙しかったようでした。なんて事を書いていたら昨日はいきなり夏の暑さが、、、。掲句は昨年、同じ昨年の俳句帖に<ここに来て暑さ極まる暮の春>なんて句も残していますから、結局毎年似たようなものなのでしょうね、、、。(2015年春詠)

竹秋の野壺ぽつんと屋敷跡

ここに住みだした頃には既に屋敷は無く、周囲より一段高く積まれた石垣の内側は畑になっていた。屋敷の裏側(と思える方向)には竹薮があり、柿やら梅やらが植えてある。もともとの屋敷の便所の跡なのだろうか、大きな野壺が口を開けている。申し訳程度に腐れかけた板で蓋がしてあるが、もう少し草が伸びると所在が分からなくなりそう。もっとも昔と違い、野壺に肥やしが溜めてあるような事はないので、はまっても被害は知れている、、、。(2015年春詠)

青空といふ名の歯科医のどけしや

倉敷での句会へは国道429号線から足守の街中を抜け、広々とした田園の中を総社へ向かう。右手山上には鬼ノ城が見えるあたり、新しい道に沿って新しい建物が増えつつある。そんな中の新しい歯医者さん。建物も新しいが看板も新しい、、、。(2015年春詠)

足長きロダンの像や芝青む

掲句は昨年四月の倉敷での句会の句です。今年は今日が倉敷での句会です。阿智神社から美観地区を抜けて、大原美術館へは入らず、分館前のロダンの像を見て、休憩所で休憩、といつものコースを歩きます。まあ、雨さえ降らなければ何とかなるでしょう、七句は、、、。(2015年春詠)

まだ荒き樹間器用につばくらめ

動体視力のなせる技でしょう。花の後の桜並木を器用に燕が抜けて行きます。とは言うものの、確かに燕の数は減っているような気がします。まだ四月ですから、これから増えてくるのかも知れませんが、、、。(2015年春詠)