我が家の裏を走る姫新線は単線です。その昔家を建てようとしていた頃がちょうど国鉄の不採算路線の廃線になっていた頃で、姫新線ももう十年もすれば無くなるような話でした。ところがどっこい、民営化や駅の無人化などを経て、今もなんてことなく走っています。変わったのは駅ですね。駅は無人化になってずいぶん寂しくなりました、、、。(2015年夏詠)
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風鈴や風の道ある通し土間
倉敷にある大橋家住宅です。入口に大きな暖簾がかけてあり、入ると広い土間が裏口まで続いている。広い家の家じゅうが開け放たれて風鈴の音が聞こえている。この家を建てた人は、ここが倉敷で一番涼しい風の通る所と分かっていたのだろうと思うぐらいに、涼しい風が吹き抜けて行く。座敷に座っていると、このまましばらく昼寝が出来たらと、そんな気持ちになってしまった、、、。(2015年夏詠)
逃げし犬探して老爺植田道
いつもは柴犬を連れて歩いている老人、珍しく一人だと思ったら「うちの犬を見なんだじゃろうか?」。「夜のうちに離れてなあ、たいてい朝には帰るんじゃけど」と言っているうちに、「ああ、おったおった」。振り返ると畦道の遠くに走ってくる柴犬の姿があった、、、。(2015年夏詠)
推し量る主の大きさ蛇の衣
もう慣れっこになっているから、普通の蛇の抜け殻では驚かない。青大将と思う1mを超えるぐらいの殻になると、さすがに一応は周囲を見回してみる。怖いもの見たさで、、、。(2015年夏詠)
つきさうでつかぬ川面の夏柳
掲句は西川緑道公園の夏柳、倉敷美観地区の柳は年に何度か剪定されて夏もすっきりした姿を見せているが、こちらはそうではない。長く枝垂れた枝の先が今にも流れに浸かりそう。でも浸かっていない。これはこれで風情がある。幽霊が出るとすれば美観地区の柳よりこちらだろう。もう少し季節が進めば浸かった枝先も見える、、、。(2015年夏詠)
薔薇の庭覗いてをれば鶏の声
オープンガーデンとして薔薇の庭を開放されているお宅を見つけて行った時の事です。薔薇も見事だったのですが、鶏小屋に居た烏骨鶏も立派でした。オープンガーデンは奥様が主人公で、ご主人がそのお手伝いをしていると言ったスタイルをとっているお宅がほとんどです。それでいて実はご主人が自分の趣味で自己主張をされている場合が結構あります。それがここのご主人の場合は烏骨鶏、、、。(2015年夏詠)
警笛や植田明かりを一両車
これもこの時期だけのほんの短い期間に見られる好きな景です、、、。(2015年夏詠)
何もなき橋の袂の立葵
近くの何でもない普通の橋の袂に毎年数本の立葵が咲きます。たぶん最初は近所の方が邪魔になる立葵を持ってきて捨てたのだろうと思います。それが毎年毎年育っては花をつけます。立葵は強いですね。何でもない橋の袂の毎年の楽しみな景です、、、。(2015年夏詠)
少年の潔癖白き靴を買ふ
こんな句もありました。上の子が選んだ愛想のない真っ白な運動靴を見た時、思わずこんな句にしてしまいました、、、。(1998年夏詠)
かなぶんの瑠璃の背急に開き発つ
また古い句です。散歩の途中で見つけた綺麗な黄金虫、観察途中に突然、、、。黄金虫は逃げましたが、代わりにこの句が残ったのです。この句は出来た場所もきちんと覚えています。GPSぐらいに正確に、、、。(1998年夏詠)