吉備津神社の裏山に「あじさい園」がある。急な斜面にたくさんの紫陽花が植えられており、紫陽花を見ながら細い山道を登るのだが、これが結構しんどい。登りきったところに岩山宮という小さな社がありベンチが置いてある。ここに腰を下ろして下界を見下ろしていると鳥の声がする。四十雀だろうか、山の上のほうで声がすると、それに応えるように下のほうからも声がする。これが何度も何度も繰り返されるのである。(2008年夏詠)
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自転車の尻に挿す傘梅雨晴間
傘を差して自転車に乗るなんて、今の交通事情では危なくってお勧め出来ませんが、昔は普通に乗ってましたね。降ってない時は畳んだ傘を、サドルの後のすき間からペダルのところへ差し込んで、颯爽と、、、。颯爽と、とは行きませんが気まぐれに自転車で通勤していた時の句です。(2003年夏詠)
家ひとつ建ち上がる音梅雨晴間
散歩コースに古い造成地がある。出来たのはもう二十年以上前になると思うが、家が数軒建っただけで、後は分譲地の看板が何度か作りなおされて建ったぐらいのものだった。そこに車の出入りが始まり、やがて足場が組まれていった。建前は狙ったように梅雨の晴間の一日だった。よそ様の家ながら、遠くから見える空に伸びきったクレーンや、響いてくる高い槌音は気持ちが良い。何とか今日一日降らずにいてくれる事を祈るのみであった。(2012年夏詠)