矢車の音降る下に犬眠る

これは我家から国道を渡ったところにあるお宅。道路脇に農機具小屋があり、その隅に小さな犬小屋が置かれていた。黒白のぶちの犬が飼われており、通勤の途上ではよく吼えられたが、たまたま昼間に通ると、暑さのせいか犬は眠りこけており、家の前に立てられた柱の上からは矢車の小気味よい音が降ってきた。すでに端午の節句は過ぎ、鯉幟の姿はなかった。(2001年夏詠)