昨年の八月、倉敷吟行での句。前を行く日傘を眺めながら、何んとか句にしようと後を歩いていたら突然止まった。危うくぶつかりそうになったが、おかげでこんな句が出来た。今年は25日が倉敷での句会だった。今年も暑い日だった、、、。(2015年秋詠)
生きるもの生きて稔りの秋となる
旱続きで弱った木が葉を落としている。これも生きる術で、まずは不要の葉を落として必要な水分量を減らすのだろう。落ちた葉は紅葉して落ちた葉と違い、パサパサに乾いている。触れればボロボロと崩れてしまう。そうして生き残ったものだけが稔りの秋を迎える、、、。(2015年秋詠)
台風裡五時のウエストミンスター
東日本では台風被害が続いていますね。掲句は昨年、台風通過中の午後五時に、風に乗ってウエストミンスターのチャイムが聞こえて来た。そう言えば長年勤めた会社のチャイムもウエストミンスターだった、、、。(2015年秋詠)
抜きし稗抱へて漢無口なる
田圃も色づいて来ました。稗もしっかりと伸びています。最近の田圃を見ると3種類に分かれます。(1)人が入ってたえず稗を抜いている田圃(2)人は見かけないが稗は生えていない田圃(3)稗も雑草も伸び放題の田圃。掲句は(1)の田圃です。(2)は農薬かな、、、?(2015年秋詠)
処暑の窓異国娘の声通る
時々大声で話しながら自転車で通ります。元気そうな声ですが、何をしゃべっているのかサッパリ分からない、、、。今日は処暑、ほんとにそろそろ涼しくなって欲しいものです、、、。(2015年秋詠)
銀漢に覆ひ尽くされ峪の村
子供の頃の実家周辺には街灯がなかった。だから家々の灯りが消えると集落は真の闇に包まれる。真上に、Ⅴ字に切り立った山を橋脚のようにして、銀河が横たわる。流星が見える。蚊取線香を点けて縁台に寝転がっていると時を忘れた。飽きることはなかった、、、。(1998年秋詠)
手花火の起承転結すぐに闇
相変わらず暑いので夏の句を、、、。(1999年夏詠)
秋草の百草園となりにけり
暑さに勝てず、ほったらかしにしていた我が家の庭、雑草だけは見事に育っている。強い!旱なんてものともしない。掲句は昨年の庭、そして今年も、、、。(2015年秋詠)
涼風の来たればベンチ動かれず
どこに限らず、もうアカンと腰を下ろしたベンチにさっと涼しい風が吹いて来た時の気持ちよさは、何んとも言えない。しばらくは動く気になれない。掲句は西川緑道公園、、、。(2015年秋詠)
事切れて蛇一本の紐となる
また蛇の句です。自然は良くしたもので、たいていの場合はほっておいても、カラスやらトンビやら狐やらの餌になって片づけられてしまう。そうで無ければ夏の暑い日差しに焼かれてカラカラの干物になってしまう、、、。(2015年秋詠)