蛇穴を出でとりあへず日を浴ぶる

隣家は女性の三人暮らし、その隣家の前が騒がしい。どうやら蛇が現れたらしく、慌てて家の中に声をかけている。外の声しか聞こえないが、「何とかして!」「そんな事言ったって!」「見てないと家のほうへ来たらどうするん!」、しばらく聞き取れない声がして静かになった。先日の事、、、。(2017年春詠)

春旅の別れ出会ひを見る車窓

昨年の春、高速バスで久しぶりに大阪へ行きました。進学か就職か、まずは始発駅での深刻そうなお母さんとあっけらかんとした少女の別れがありました。途中のバス停では運転手さんに託して小さな男の子を旅に出す心配そうなお母さんの顔、そして終点ではその小さな子と迎えに来たおばあちゃんの嬉しそうな出会いの顔が。旅は楽しい、、、。(2017年春詠)

亀出でよ田螺も出でよ庭の池

アイビースクエアの一角に池があり、沢山の亀がいます。亀も嫌いではありませんが、なんだか違和感を感じるのは外来種のアカミミ亀だからだろうと思います。小さい時にはミドリガメとして可愛がられた亀です。言わば人間の犠牲になった亀ですね。田螺は?、いないだろうなあ、、、。(2017年春詠)

畳屋の前は休田花なづな

時々通る散歩コースに畳屋(の工場)があります。前は田圃です。一面に薺の花が咲いて風に揺れています。目立たない花ですが一面に揺れている様は見ごたえがあって好きです。その畳屋さん、休みが多いと思っていたらどうやら閉めてしまったようで、機械の音もラジオの大きな音も聞こえなくなってしまいました。ナズナ、通称ぺんぺん草、、、。(2017年春詠)