竹垣をこぼれ山茶花まつ盛り

昔、この地に引っ越してきた頃、近くに小さな造り酒屋がありました。高い煙突があって、表の広い入口を入ると染み付いたお酒の匂いがして、声をかけると奥から上品なお婆さんが出てこられる酒屋さんでした。ほどなく造るのを止められ、しばらく売店だけをされていましたがそれも止められ、古い建物を一掃して竹垣のあるしゃれたお屋敷が出来上がりました。思い起こせばその新しい家になったのも、もう十年以上前になるのです。奥へ奥へと路地に沿うその竹垣が少し崩れて間から内側の山茶花が零れ、、、。(2016年冬詠)

山茶花や主の帰り待つやうに

長い間一人暮らしだったお婆さんが施設に入られたのは昨年の春だったろうか。掲句はそれから半年、散歩途中の道から見えるその家の庭に見事に咲いた薄いピンクの山茶花を見つけた時の句。さらに一年、今年も山茶花は咲き出したが、庭は少し荒れて、去年ほどの美しさは無い、、、。(2016年冬詠)

山茶花や庭師離れて樹形見る

散歩の途中で見る山茶花がきれいだ。先日、とあるお宅の玄関前にバケツに投げ込むようにして大きな満開の山茶花の枝が活けてあった。周囲のタイルの上に落ちた山茶花が散らばって、これも見事だった。このお宅、時々面白い形で目を楽しませてくれる。中学生ぐらいの子供がいる若い夫婦、、、。掲句は昨年、句会への途中で通りかかった別の庭先での景。会心の作の山茶花なのだろう、道路を渡って離れて樹形を見て頷く庭師の満足そうな顔、、、。(2014年冬詠)