路地今も紫陽花の咲き猫の声

徒歩通勤をしていた頃の道が懐かしくて歩いてみた。かつては田圃に沿った開放的な道だったがやたらと家やマンションが増え、歩きにくい道になっていた。そんな通勤路の最後にある国道に抜ける短い路地、そこだけが昔と変わらぬ形で残っていた。家と家の間に人一人通れるだけの幅の路地、路地に面して右側の家の台所の出窓と勝手口、通るとよく生活の音や猫の声が聞こえたものだった。路地の手前の小さな植え込みには紫陽花、、、。(2022年夏詠)

紫陽花や路地奥にある大師堂

街中の細い路地の入口に紫陽花が咲いている。花にも葉にもたっぷりと貰った水がまだ光っている。歩いて五六歩ほどの路地奥にこじんまりと大師堂が見える。古くはないが手入れの行き届いた良い雰囲気、、、。(2021年夏詠)

紫陽花や鉄階錆びし工場跡

二階建ての建物の外階段をトントントンと登ったところに事務所がある。階下は工場、開けっ放しのシャッターの奥から機械の音が聞こえてくる。階段の傍の植え込みには雨に濡れた紫陽花が、、、。と言った感じの町工場だったのだろう、今はシャッターも薄汚れ外階段は赤く錆び付いて、二階へ上がるのは危険そうに見える。紫陽花は植え込みからはみ出すぐらいに育って、濡れた青色がやけに綺麗だ。さて、何の工場だったのだろうか、、、?(2015年夏詠)

白紫陽花ほのと緑を透かせけり

掲句は車で通りすがりに見た街中の紫陽花です。今日ネットで何となく紫陽花の句を探していたら、渡辺水巴に「紫陽花や白よりいでし浅みどり」という句があった。あったからどうだって言うことではないのだが、これって私が見たのと同じような紫陽花なのだろうか?だとすれば、共感者がいたような気分がして、楽しくなってくる、、、。今日は夏至、、、。(2013年夏詠)