冬深しいつも十時の掛時計

二月です。掲句は某喫茶店の掛け時計、動いていません。飾りです。昨年吟行で児島の旧野崎家住宅へ行きましたが、こちらの古い台所の奥に掛かった掛け時計、動いていましたよ、正確に。野崎家住宅は細かい所まで気配りの行き届いた展示がされていて、また行ってみたいところです、、、。(2016年冬詠)

新築の家出来上がり春待てる

他所の事ながら新しい家が建つのは興味津々、散歩途中の楽しみだった。出来上がったのは今風の角ばった、屋根一面がソーラーパネルの家。我が家の頃とは工程も出来上がりもずいぶん違うなあと思っていた昨年の今頃の句。一年経つと家もすっかり周囲に溶け込んで、当たり前のようにそこにあります、、、。(2016年冬詠)

ストーブの煙二手に分かれ出る

長い筒の先にH型の吐き出し口がついたストーブの煙突、さすがに見かけるのは稀になってしまいました。私が毎年見かけるのは二か所だけです。一か所は国道429号線沿いの峠にある雲海卵の販売所。もう一か所は倉敷阿智神社の社務所の裏手にある小さな作業所のような小屋。懐かしい煙です、、、。(2016年冬詠)

押しあひて屋根をはみ出す冬雀

隣家の屋根に夕日を受けて雀が並んで賑やか。どの雀も丸々として夏よりは一回り大きく膨らんで見える。次第に数が増えて、そのうち押されて端っこの一羽がはみ出し、ばたばたと反対側に飛んでいく。いったい何を話しているのか、、、。(2016年冬詠)