掲句は車で通りすがりに見た街中の紫陽花です。今日ネットで何となく紫陽花の句を探していたら、渡辺水巴に「紫陽花や白よりいでし浅みどり」という句があった。あったからどうだって言うことではないのだが、これって私が見たのと同じような紫陽花なのだろうか?だとすれば、共感者がいたような気分がして、楽しくなってくる、、、。今日は夏至、、、。(2013年夏詠)
カテゴリー: 2013
ほの見ゆる螺旋階段黴の宿
入社して五六年の頃だったろうか、福島県のとある工場に仕事をお願いして、その指導で一ヶ月ぐらい飯坂温泉に滞在したことがある。朝から温泉に入り、迎えの車で出勤、夜は温泉街を散策した。もっとも入社五六年の出張手当では、散策ぐらいが関の山だったのだが、、、。掲句は昨年、近くの寂れた温泉の、もう営業していない(?)ホテルの景、、、。(2013年夏詠)
選ばれて若竹となる五六本
手入れを怠れば竹藪、手入れをすれば竹林と言ったところでしょうか。手入れをされた竹林はきれいなものです。筍を採るためには適度な間隔が必要なのでしょう、間引かれて、選ばれた筍だけが空に伸びている、、、。(2013年夏詠)
たくましき女の素足立ち止まる
ミニスカートが流行り出したのと私が就職したのが同じ頃だった思う。会社も工場も若かったから働いている女性も若かった。だから競うようにミニスカート姿で、健康的な逞しい足を見せていた。その足は明らかに今の若い女性の足とは違う足だったような気がする、、、。掲句は西川緑道公園で久しぶりに見た昔タイプの足、見事さに見とれていたら突然立ち止まって振り向いた。やましい心はないのだが、ちょっとドギマギしてしまった、、、。(2013年夏詠)
クロールの顔上ぐる度夏の雲
昔の田舎の小学校にはプールなんてものは無く、泳ぐのは川に限られていた。だから水泳が許可されるのは、梅雨が明けて水温が上がって来る、ほとんど夏休みに近い頃だった。我慢できずに泳ごうものなら、なぜだか必ず学校に知られて、こっぴどく叱られたものだった。今は六月になると水泳の授業が始まるからだろう、私が通っている市民プールにも、休日には急に子どもの数が増えてくる。おかげでこちらは泳ぐのもままならない状態になって来る。それに比べると、平日のプールのなんと穏やかなこと、中央のコースを独り占めにしてゆったりと泳いでいると、ちょうど顔を上げた目線の先に育ち始めた峰雲が見えるのである、、、。(2013年夏詠)
浜茄子や刺あるものもいとほしく
浜茄子はバラよりもたくさんのトゲがある。花びらはバラよりも柔らかく、ふんわりした感じ。香りはバラよりも強い。丈夫でほって置いても毎年花をつけてくれる。今年は冬の間に、少しだけ古い枝を整理してやったら、ますます元気になってたくさん花をつけている。トゲもいつになく良い色をしている。ネットで調べると、花びらはお茶にして飲めるそうだから、早速試してみよう。実も食べられるそうで、これも楽しみだ。長い間ほったらかしでゴメンなさい、、、。(2013年夏詠)
燻らする香ひとすじや梅雨の家
やっと暑さが和らいだと思ったら、あっさりと梅雨に入ってしまいました。暑いのも困りますが、部屋中が洗濯物だらけになるのも困ったものですね、、、。(2013年夏詠)
飛行機の音の流され青嵐
(6月3日)今日にも入梅かという日です。風の強い日ですが、青嵐とは少し違いますね。飛行機は音ばっかりで、姿はありません。こちらも、掲句の時と違い雲の上だからです、、、。それでも、幸いなことに、昨日までの暑さが嘘のようです。過ごしやすいですね、、、。(2013年夏詠)
用水を流るる蛇の速さかな
田植の終わった頃の用水は水も多く流れも早い。おまけに下流に向かって落ちたものだから、蛇は”くねくね”の一回の”くね”で1メートルぐらいは進んでしまう。あっという間に角を曲がって行った、、、。(2013年夏詠)
牛洗ふやうに田植機洗ひをり
牛の代わりはトラクターだろう。考えてみればそうなのだが、家の前で丁寧に田植機を洗う姿を見て、なぜか記憶の片隅にある田植の後で牛を慈しむように洗う映像が重なった。ほんとうにかすかな記憶で、私が小学生のころには耕運機があっという間に普及し、田の中に牛を見ることは無くなった。農繁期休暇なんていうのもあったなあ、、、。(2013年夏詠)