行く年の鐘は西方浄土より

いよいよ大晦日、本年も一年お付き合いありがとうございました。普段は聞こえない鐘の音が今夜ばかりはあちこちから聞こえてきます。近く、遠く、大きく、小さく。あたかも西方浄土からの鐘の音のようです。と思っていると最近は、年が明けると同時に花火の音がパンパンと、、、。皆さま良いお年を、、、。(2015年冬詠)

煤払蜘蛛の生涯思ひもし

忙しいときに何を考えているのでしょう。煤払の時期になると蜘蛛の姿はなく、ただ破れた巣が風に揺れているだけなのですが、いったいどこに行ったのでしょう。死んでしまったのか、どこかで冬眠しているのか。そんな事を考えるのは私だけなのでしょうか、、、。(2015年冬詠)

山国の普通のやうにしぐれけり

とにかく時雨が多い。たぶん盆地の特徴なのだろうと思う。何でもない空からパラパラと降ってくる。夏ならどうってことのないほどの雨だが、冬に濡れるのは乾かないのでなかなか厳しい。これが普通なんだと強がりを、言ってはみても、、、。(2015年冬詠)

校庭の声止むチャイム冬日向

阿知神社の裏に回ると麓の小学校の校庭が見える。休み時間になると賑やかな声が響き、走り回る児童等の姿が見える。その声がちょうどピークになった頃にチャイムが鳴り、途端に声も児童等の姿も消えていく。後にはやわらかい日差があふれる冬の校庭だけがが残る、、、。(2015年冬詠)

裏窓の明るし残り柿に鳥

鳥が運んだ柿の種が芽を出し大きく育ち、去年ぐらいから実を付けるようになりました。残念ながら渋柿でした。熟柿になれば食べられるかもしれないと待ってみましたが、やっぱり少し渋が残った味でした。鳥たちが来て賑やかに遊んでいますが、さて鳥たちは食べてくれるかどうか、、、。(2015年冬詠)