山の中の無住寺、本当は寒い日だったのです。それがふっと日が差してきて、その中にお地蔵さんが二体寄り添うように立っているのを見ると、何だか急に暖かい心持ちになってこんな句に、、、。(2016年冬詠)
カテゴリー: 2016
小春日の程よき距離の鳶鴉
仲が良いのか悪いのか、いまだに分からない鳶と鴉です、、、。(2016年冬詠)
里神楽お神酒過ぎたる手力雄
実家のある田舎の秋祭りは今日から明日、今夜には奉納の備中神楽があるのだろうと思います。手力雄(タジカラオ)は手力雄命(タジカラオノミコト)、天照大神が天岩戸に隠れた時にその戸を開けた剛力の持ち主です。備中神楽では岩戸開きの演目で登場します。掲句はそれを思い出して詠んだ句ですが、普通の秋祭りの神楽では見られないかも知れません、、、。(2016年冬詠)
小春日や口に黒飴放りこみ
ついこの間まで暑いと言っていたのに、もう日差が恋しい季節になりました、、、。(2016年冬詠)
鴉瓜枯野に点を打つ如く
鴉瓜は秋の季語ですが、存在感を増すのは冬に入ってからのように思います。葉を落としていく木にぶら下がって、次第にその姿を現すと同時に赤さを増していきます。それがすなわち今、初冬の時季なのです。当分は楽しめます、、、。(2016年冬詠)
枯蟷螂ほんとに枯れて動かざる
保護色なのでしょうか、この季節になると枯色のカマキリを見るようになります。それも生気のないどす黒いような枯色、死んでいるのかなあと思ってつつくと少しだけ動いてまた止まってしまう。掲句は反対、死んでいるのかなあと思ってつついたら本当に死んでいた、、、。(2016年冬詠)
裏木戸が主たる入口石蕗の花
冬になりました。石蕗の花がきれいに咲いています。掲句は一人暮らしのお宅の玄関脇の石蕗の花。何度行っても玄関が閉まっていて応答がない。困って隣で聞くと、「玄関はいつも閉まっとる。横の木戸から入って奥のほうで呼んだら出て来るから」と教えられた。なるほど、石蕗の花のもう一つ横が細い道になり、古びた木戸へと続いている。こちらはすっと開く。家の横を通って裏へ行くと二階へ続く階段がある。そこで大きな声をするとガタガタと二階で音がして、ようやく返事が返ってきた、、、。(2016年冬詠)
ひと色に日差集めて秋の蝶
寒くなって、さすがに目にする蝶も限られてきました。白か黄ですね。春に目にするのも早いですから、寒さに強いという事なのでしょう。昼間の温かい日差しの中を舞っているのは良いですが、朝の寒さの中で草にしがみついて日差しを待っている姿は哀れなものです、、、。(2016年秋詠)
酒切れて終はる寄合後の月
十一月ですと書こうか、十三夜ですと書こうかと思いながら、、、。(2016年秋詠)
秋夕日ピラカンサスの色極む
近所のお宅にびっしりと実の生ったピラカンサスがあります。夕日が当たるとまるで夕日よりも赤いような色に輝きます。いつも雀が群れています。目の先2mほどの所なのですが、間に深い溝があって手は届きません。それを知っているのでしょう、私が通ってもいつも平気です、、、。(2016年秋詠)