教会の尖塔高し秋の蝶

知人に誘われて見に行った教会の展示会。コーヒーとクッキーを頂いて、優しい皆さまとお話をして、お礼を言って外に出る。目の前を横切った白蝶を眼で追って振り返ると、蝶が昇る先に十字架のある塔、、、。(2019年秋詠)

遮断機の下りし中へと秋の蝶

遮断機を前に列車の通過を待っていると蝶が一頭ふらふらと遮断機を越えて行きました。私の人間の頭は反射的に危ないと思うのですが、当然ですが蝶は平気で、何事もなくそのままふらふらと踏切を渡り切ったのでした、、、。(2017年秋詠)

ひと色に日差集めて秋の蝶

寒くなって、さすがに目にする蝶も限られてきました。白か黄ですね。春に目にするのも早いですから、寒さに強いという事なのでしょう。昼間の温かい日差しの中を舞っているのは良いですが、朝の寒さの中で草にしがみついて日差しを待っている姿は哀れなものです、、、。(2016年秋詠)

秋蝶の翅を休める潦

雨が降ると必ず水たまりが出来る河川敷の一所。一度できると暫くは残り、虫たちの憩いの場となる。アメンボやみずすましが泳いでいることもあるし、蝶が水を飲みに来ていることもある。跳んで越えられないほどの水たまりではないが、優先権のある虫たちの邪魔をしないように、少しだけ遠回りをする、、、。(2016年秋詠)

今生の別れに来しか秋の蝶

いつまでも暖かいと思っていたら急に寒くなった。一昨日の夜には木枯まで吹きだして、朝には庭一面が落葉に覆われていた。暖かい日が続くので、これなら蝶々も当分大丈夫だろうと思っていたのだが、、、。とは言うものの、今見られるのは小さな黄蝶がほとんどで、大きな蝶はすでに見られなくなっている。河原に伸びた草にぶら下がるようにして、じっと日を浴びている黄蝶がたくさんいる。やがて本格的な寒さが来れば彼らも目に付かなくなる。掲句は昨年、本格的に寒くなった後、暖かくは無い日だったのに揚羽に出会った日の句、、、。(2014年秋詠)

階を上りて秋の蝶に会ふ

階段を上って行くと、上のほうできれいな蝶が、とまるでもなく離れるでもなく羽ばたきをしている。もう少し観察しようとさらに上ると、蝶も合わせたように上って行く。やっと私が頂まで上ると、蝶は迷わず空中に飛び出して行った、、、。(2013年秋詠)