うらぶれて枯るる蟷螂草の陰

そもそも逃げ足の速い昆虫ではないけれど、この時期になると余計に緩慢な動作に見える。生まれながらにこの色なのか、秋の深まりに従って色が変わるのか知らないが、色もうらぶれて見える、、、。(2022年秋詠)

潰えゆく枯蟷螂の緩慢に

カマキリに限った事ではないが、寒さを増して行く季節の中で、次第に動けなくなって行く昆虫を見ると、本当に可哀そうに思う。本当は逃げたいだろうに動けない。それでも手を触れるとやっとの事で足が動く。そんな自分をどんなふうに思っているのだろうか、、、。(2021年冬詠)

枯蟷螂ほんとに枯れて動かざる

保護色なのでしょうか、この季節になると枯色のカマキリを見るようになります。それも生気のないどす黒いような枯色、死んでいるのかなあと思ってつつくと少しだけ動いてまた止まってしまう。掲句は反対、死んでいるのかなあと思ってつついたら本当に死んでいた、、、。(2016年冬詠)

枯蟷螂這ふとき鎌も使ひけり

冬に入り昆虫が少なくなった中で、蟷螂(それも枯色の)は比較的目にすることが多い。蟷螂はもともと飛蝗や蝗のように活発に飛び回る虫ではないが、この時季になるとよけいに動きが遅い。一日経ってもほとんど同じところに居ることがある。犬の鼻が近づくと、一応身構えるので、生きてはいるらしい。雌ならすでに卵を産んで、死にむかうところかも知れない。雄ならばそんな雌に食べられそこねてうろついてる、哀れな一匹なのかも知れない。(2010年冬詠)