ひよつこりと師に遇ひさうな春の昼

昨年の3月22日、倉敷美観地区での句。ふっとそんな気がして句にした。この時 師が すでに余命いくばくもない状態だった事は後になって知った。定例の吟行句会の日だったから、あるいは夢うつつの中で魂だけが身体を離れて、近くを吟行されていたのかも知れない、、、。(2019年春詠)

昔話に花咲く二人土手の春

同じ時間に散歩に出ると同じ人に会う。私より一回りぐらい上と思える二人連れの男性、土手に設けられた河原へ降りる階段の一番上に並んで腰を下ろし、会話に余念がない。きっと昔話だろう、挨拶をして通り過ぎるだけで話の内容は分からないが、声の調子はやけに楽しそう、、、。(2019年春詠)

水脈重ねすでに通しの鴨の二羽

よく見ると川の鴨の数が増えたり減ったり、日々違っている。旅の途中の一休みといったグループもあるのだろうか、冬ほどの大きな集団ではないが、賑やかに泳いでいる。そこから距離を置いて、いつも見かける二羽。こちらはもう北へ帰らないと決めた二羽なのだろう、いつも仲良く静かに泳いでいる、、、。(2019年春詠)

竹爆ぜる音に野焼の佳境へと

農作業前の野焼のシーズンです。遠くから煙の臭いがしてきます。大きな音は竹の爆ぜる音です。昔、大丈夫かなあと思いながら見ていたら本当に火事になった事がありました。幸い民家にまでは及びませんでしたが、ご用心ご用心、、、。(2019年春詠)