少しずつ、少しずつですね。朝の風も何となく柔らかくなってきました、、、。(2022年春詠)
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春寒の空を映して行潦
雨の後の朝は何となく寒い。傷んだアスファルトの道に幾つもの水溜が出来て、まだ曇ったままの空を映している。いかにも寒そうな色、、、。(2019年春詠)
春寒やコップに咲かす偽の花
よくできた造花、、、。(2017年春詠)
地下道に春の寒さの残りをり
岡山駅の東口から西口へ通じる地下道、階上に出来た連絡通路の華やかさと比べると寂しいが、懐かしさもあって時々通る。どこの地下道もそうだが、春になってもいつまでも寒さが残り、天井が低いせいかやたらと靴音が響く、、、。(2013年春詠)
鐘ついて春の寒さを払ひけり
倉敷市の安養寺での句、朝は寒かったなあ、大きな鐘の音に身体の底のほうがぶるぶるっとして、とたんに寒さが逃げていったような気がしました。紅を通り越した黒のような色の椿がきれいでした。それと鶯の正調のホーホケキョの声も見事でした。鶯の鳴き声にも訛りがあることに気づいたのがこの日でした、、、。(2010年春詠)
春寒やゆつくり灯る水銀灯
倉庫の高い位置に水銀灯があった。暗い中でスイッチを入れると、水銀灯はゆっくりと明るくなっていく。明るいような暗いような、という表現が良いのかどうか、水銀灯には独特の明るさがある。点るまでの時間はわずかなものだが、そのわずかな時間が春先の薄ら寒さを増幅するような感じがするのだった、、、。(2011年春詠)
春寒やかたむき置かれ石祠
石祠にも大小いろいろありますが、黒い色の小さなよくある石祠です。大きな石の上に置かれたり、大木の走り根の上だったり、多かれ少なかれ傾いていることが多いですね。いつも石祠で詠みますが、実際は焼物のような気がします。神様に対して失礼ですが、昔の炬燵が良く似た色や形をしていたと思いませんか?石祠は一年中、何かにつけて詠んでいるような気がします。春には春の石祠です、、、。(2010年春詠)
春寒の東院堂へ靴脱いで
これも奈良薬師寺での句。薬師寺の東院堂には聖観世音菩薩像、四天王像がある。と言ってもそのお姿を記憶しているわけではなく、東院堂へ靴を脱いで上がる時の靴下を通した足裏の冷えを記憶しているだけ。(2001年春詠)