その上に城址あるてふ山の春

散歩の終点の川向うにある山上に城があったと知ったのはいつだったか。そう思って見上げると確かに川側の斜面は急峻で、守りには適しているようだ。山上からは一帯が隈なく見渡せそうだ。春になると急峻な斜面のあちこちに山桜が咲く、それが終わると山つつじ、藤、朴の花と続く。残念ながら城跡への道は整備されていないらしい、、、。(2021年春詠)

始発より早き鳥声五月来る

始発で起きだしていろいろ済ませると散歩に出るのは八時過ぎになります。すでに太陽の昇っている時刻、今年は特に暑く感じます。そこでどうするか。始発より先に起き出せば全体的にスケジュール早まって、暑くならないうちに散歩に出られるのではないだろうか。なんてことをベッドの中でウトウト考えていると鳥の声が、、、。(2021年春詠)

近道の路地に朝餉の目刺の香

昔徒歩通勤をしていた頃に近道のために通り抜けていた路地、その路地に面した家の台所の出窓のすぐ外側だった。料理をする音、洗い物をする音、話し声、そして食欲を誘うちょっと濃い味付けの美味しそうな匂いがしてきたものだった、、、。(2021年春詠)