杖を頼りにゆっくりと歩かれている近所の方がありました。そう言えば何やら手術をされるとか、されたとか、人づてに聞いたような記憶があります。ガンバレと声を掛けたいところですが掛けません、、、。あれから一年、久しぶりに見かけたら、歩きはゆっくりながら杖はなくなっていました、、、。(2022年春詠)
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浅春の風に棹打つ旗の紐
近くの神社の屋根より高い立派な金属の旗竿、いつも国旗が掲揚されています。風が強いとその旗の紐が竿を打つ音がカンカンと響いて、まるで「たまには上を見ろ!」と言わんばかりの音に聞こえます、、、。(2022年春詠)
浅春のこんがり匂ふ朝のパン
買ってきた食パンをオーブントースターで焼いた「焼きたて」です。とは言えコーヒーと相まって食欲をそそられる良い匂いです、、、。(2022年春詠)
浅春の湯気立ててゐる朝の屋根
大霜の朝は野山はもちろん家々の屋根も真っ白です。そこに太陽が当たると一気に屋根の温度が上昇するのでしょう、霜が融けて水蒸気になってもやもやと昇って行きます。春の霜ならではの光景です、、、。(2020年春詠)
浅春のクレーンの動く屋根の上
遠くの見慣れた風景の中ににょっきりと出現した長いクレーンの腕。少しずつ、少しずつ動いている。建前だろう、槌音も聞こえて来る。どの辺りだろうと頭の中に地図を広げてみる、、、。(2019年春詠)
浅春の空気震はせ遠汽笛
気持ち良い、と言っておきましょう、今年はちょっと寒さが勝っていますが、、、。(2017年春詠)
浅春の移動図書館楽鳴らし
近くの道の駅、移動図書館の開設場所となっているのでしょう、時々見かけます。掲句の時はちょうど到着したばかり、屋根の上のスピーカーから大きな音で子供向けの音楽を流していました。自分で図書館まで行けない人にとっては貴重な機会なのでしょう、雨の中で本をさがしている人を見かけたこともあります、、、。(2016年春詠)
浅春の作務衣の若き寺男
県中部の山の中にある古刹本山寺での句。いつもきれいに手入れがされている。数年前から若者が一人加わった。仕事ぶりは真面目。そう言えば今年はまだ行っていない、、、。(2016年春詠)
浅春の風はパン屋の方より来
西川緑道公園脇のパン屋さん、明るい店内が見え、風に乗って焼きたてのパンの匂いが流れてくる。浅春の朝の光景、、、。(2015年春詠)
浅春の空気吸ひ込む鯉の口
プールで会う方に引退された元建材店の社長さんが居られます。一見ごく普通の腰の低い穏やかな方ですが、実は元空手教会のえらいさんだった方でもあります。いつも水中ウォーキングをされています。この方に限りませんが、隣のコースをクロールで泳いでいると、横を向いた時にちょうど歩いている方の水中の姿勢が眼に入ります。この元社長さん、他の方と一緒の時は話をしながらゆっくり歩かれていますが、一人の時は必ず空手の正拳突きをしながら歩かれているのです。それも姿勢よく、力強く、、、。(2015年春詠)