我が家から二軒おいて用水路、その向こうに吉井川の土手があり姫新線の踏切がある。踏切の音は最初大きくて、少し小さくなりしばらくして列車が来る。春夏秋冬変わらないが、夏の朝の踏切の音は軽やかに良く響く、、、。(2014年夏詠)
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百日紅残る頼りの叔父一人
新暦では盆です。カレンダーを見ると「ぼん」と書いてあります。「盆」ではなくて「ぼん」です。別のカレンダーを見ると、これもやっぱり「ぼん」でした。百日紅がきれいです。父は一人っ子でしたので、父が亡くなってからは母方の叔父が頼りでした。何かと相談に乗ってもらいましたが、気が付くとその叔父ももう九十歳、月日がたつのは早いものです、、、。(2014年夏詠)
何やらが逃げて青田の水匂ふ
すっかり青田になった県北の田圃、逃げたのはたぶん蛙でしょう。炎天に曝された水が匂ってきます。田圃の土の匂いです。記憶の底に染み付いた懐かしい匂いです、、、。(2000年夏詠)
蝉の声園児の声に負けにけり
今年も蝉の季節になりました。倉敷へ吟行に行くと園児の集団によく出遇います。その賑やかな事!そのたびに保母さんたちの苦労を思いますが、子供は元気なほうが良い、、、。(2015年夏詠)
よその瓜大きく見ゆる散歩かな
やっと我が家の胡瓜も採れるようになりました。と思ったら食べきれないからと沢山の胡瓜を頂きました。こんなものですね。散歩の途中で見る他所の菜園はどこも立派に見えます、、、。(2015年夏詠)
さはさはと毛虫食む音夜の緑
去年は毛虫が多くて苦労しました。夜に外に出ると本当に葉っぱを食べる音が聞こえるのです。下を通っただけで被害がある毛虫もいますから要注意です。なぜだか今年は悪い毛虫が少ないみたいで、少しホッとしています、、、。(2015年夏詠)
ひと所葎明るし野萱草
切られても刈られてもこの時季になると咲く花、すっくと伸びた茎の先の黄赤色が夕暮れの中で明かりが灯ったように見える。決して派手ではなく、纏まって咲くより数本だけのほうが似合う花です、、、。(2015年夏詠)
猫にねこ草犬にいぬ草大夏野
猫が食べればねこ草、犬が食べれば犬草ですね。観察すると実は同じ草を食べています。小さい時にもらわれて、親から教えられた訳でもないのに、犬も猫もちゃんと自分でお腹の調子を整える術を知っています。すごいですね、、、。(2015年夏詠)
明易やこの頃知らぬ鳥の声
季節の変化によっても訪れる鳥の種類は変わってきますが、それ以外にも環境の変化で今までとは違う知らない鳥がやって来たりします。そして知らない間に来なくなります。掲句、うとうとしていて知らない鳥の声に気づいて目が覚めた朝の句です。その鳥が何だったのか、今となっては分かりませんが、いつかまた聞こえてきて目が覚めるかも知れません、、、。(2015年夏詠)
空つぽの一両電車星涼し
七夕です。星が見えれば良いのですが、、、。掲句、夜の一両電車です。夜も遅くなるとほとんど乗客は見られません。コトコトと通り過ぎる空っぽの電車は心なしか寂しそうに見えるものです。後の夜空がきれいでした、、、。(2015年夏詠)