日のありて雨脚見ゆる秋驟雨

すぐに止むだろうと無人のお堂の軒先を借りて空を見ていた。動きの速い雲の間から時たま太陽が顔を出す。と同時にスポットライトを浴びたように、雨が光る線の帯となって浮かび上がる。すぐにまた翳る。その繰り返し。見ている間に雨が止んで、光だけになってしまった、、、。(2016年秋詠)

秋驟雨梁に雀が羽ふるふ

いきなり降り出した雨を部屋の中から眺めていると雀が一羽飛んできた。雀は部屋の前のカーポートの梁にとまり、ちょうど映画のシーンで人間が雨宿りに入った軒先で、「いやあまいった、ひどい降りだなあ」と雨を見ながら手で濡れた着物の雨水を振るう場面のように、雨を見ながら羽を振るって手入れを始めた。全くこちらに気づいていないその仕草が自然で面白かった、、、。(2015年秋詠)